これはアラブ首長国連邦(UAE)より2020年10月20日に発行された火星探査の切手シートです。同年7月20日にUAE初の火星探査機HOPEが日本のH-IIAロケット42号機で打ち上げられたニュースをご記憶の方も多いと思います。HOPEは今年2月9日に火星の軌道に到達しました。この切手は、打ち上げから火星軌道到達のちょうど中間地点で発行されたことになります。発行時点では火星未到達でしたが、もう大丈夫だろうということで発行のGOサインが出たのでしょうか。
切手には、H-IIAロケットによる打ち上げと思しき画像も登場しています。ただし、この写真が本当に当日のものなのか、同様の写真をネットで見つけることはできませんでした。
UAEは将来の石油枯渇を見据えて、石油に頼らない経済発展戦略を実行中で、この宇宙開発事業もその一つです。2024年までに再び人類を月に送るというアメリカ航空宇宙局(NASA)主導のアルテミス計画にも参加国として名を連ねているほか、100年後の2117年までに火星に人類が居住できる都市の建設を目指しており、今や中東における宇宙開発のトップランナーと言えます。
それにしてもUAEといえば、かつてアラブ土侯国切手を発行した土地でもあります。あの頃は米ソ宇宙開発を切手のネタにし続けましたが、自前の宇宙開発で切手を発行する日が来ると予想していたでしょうか。