台湾が実効支配する島にある灯台切手

先日、とある郵趣ウェブログにて中華民国(台湾)郵政が昨年(2020年)12月に発行した灯台シリーズの切手が取り上げられていました。

The South China Sea is LIT
(Punk Philatelist、2021/5/31)
https://punkphilatelist.com/2021/05/31/the-south-china-sea-is-lit/

これが実際の切手で、イヤーセットからの1ページです。

話題になっていたのは右端にある最高額の切手でして、切手に書いてあるとおり、太平島の灯台を描いています。この太平島というのが東シナ海にある南沙諸島の北部に位置する島で、現状は台湾(中華民国)が実効支配していますが、中国やベトナム、フィリピンも領有権を主張しています。そう、非常にきな臭い地域です。

灯台は世界的に人気のある収集テーマですが、これはまさに国家の主張を代弁する切手です。この切手が紹介されたブログによれば、ベトナムのホーチミン市にある収集家組織は自国郵政に対し、この切手が万国郵便連合(UPU)の規定に則っていないとして抗議するよう要求したとのことです。

ちなみに先述のブログには書いていませんが、中央にある切手もなかなかものでして、この灯台がある北椗島は金門県に属しており、つまり中国本土の近くにありながら台湾が実効支配している島です。まあ、現時点でここに領土紛争はありませんが、しかし中台間で有事が発生した場合、真っ先に不安定な地域となるでしょう。