『現代切手』とは何か

近代郵便制度が創始され、郵便切手が発行されるようになって178年。今日も世界中の郵便局で切手が発売されている。多くの人々にとって、いま郵便局で発売されている切手こそが、その時々で最も身近な存在の切手であることは間違いない。そこで、郵趣家が通常使う『現行切手』ではなく、『現代切手』という、『直近の切手』を意味する言葉を作った。『現行切手』では、範囲があまりに曖昧で広すぎるのだ。

切手はその時代の最新の技術や知識を使って発行されてきた。しかるに現在、郵便局で売られている切手は178年の歴史の到達点の末に作られているのであって、時代を象徴する鏡と言ってもいい。かつて発行当時には批判の対象となった切手であっても、時間が経てば再評価されたり、当時の様子を窺い知ることができる貴重な資料となることもあるのである。

一方で、郵趣家と呼ばれる人たちにとって、必ずしも現在発売中の切手が関心の対象となるわけではない。178年間すべての切手が興味の対象となりうるわけであって、どうしても最近の切手に対する注目度が下がるという方も少なくない。もちろん、何を収集、研究の対象とするかは個々の郵趣家に委ねられているわけで、郵趣家の数だけ研究テーマも存在するのである。

電子的な通信手段の発展に伴う郵便制度の危機が叫ばれて久しいが、それでも切手の発行件数は増え続けている。切手が新たに生み出される限り、『現行切手』の動向を今後とも注目していきたい。

郵趣同人誌『現代切手2018』より(ダウンロードなどはこちら
2018年11月30日付で書いた文章を多少改変。