将来を見通す力

さて前回は現在における切手の立ち位置を探るようになった理由として2つ挙げましたが、今回はその2つ目の『郵趣の将来の予測』についてです。実はこれを考えるきっかけになった本があります。それがこれです。

『早大切手研50年』。早稲田大学切手研究会の発足50年を記念して、早大研究会OBや研究会外の早大OB、他大学の郵趣関係者などから原稿を募って集めた本で、今から20年前の1999年に出版されました。数年前にどこかの即売会にてたまたま見かけ、自分の出身大学の郵趣サークルが出している本ということで購入したのですが、私自身は在学中に所属しておりません。大学時代は新たに発売される日本切手をちまちま買っているのみで、外国切手はほぼ買うのをやめていた時期でした。

本の性格上、昔話や懐かしのエピソードが主体となっているのは当然のことなのですが、高名な郵趣家だけではなく、当時の早稲田大学総長・奥島孝康氏(ちなみに私の今の勤務先にも非常に関係のある方だったりします)、当時の現職総理・小渕恵三氏(国会フィラテリスト議員クラブの会長でもありました)らが切手に関するエピソードを寄せている他、逆に切手からはすっかり離れてしまったOBの方々の原稿も収録され、実に面白い本となっています。

もちろんエピソード原稿だけではなく、郵趣研究に関する原稿も収められており、その中には郵趣の将来を予測した原稿もあり、書籍の発行から20年後の今の状況をほぼピタリと当てているものもあって驚きます。なぜそのようなことが可能だったのか、もちろん著者の洞察力が極めて優れていたのでしょうが、当時の日本、そして海外における郵趣事情を正しく把握されていたからこそ、延長線上としての今日をおおよそ予測できたのだろうと思っています。

一流の方には将来を見通す力があるんだなぁ、と、この本を読んで改めて思い知った次第です。

まあ所詮は趣味なので将来の郵趣がどうなろうが関係ないといえば関係はないかもしれません。しかし、現実問題として、予測される将来像によっては収集の戦略が変わってきます。下世話な話、限られた予算をどのように使っていくべきかという考察に大きな影響を与えます。皆さんも「今○○がこの値段で手に入るなら、昔必死な思いで手に入れることなかったかもなぁ~」とか、逆に「これはもっと早くから集め始めておけばよかったかもなぁ~」と思ったこと、ないですか?

予算的な問題以外にも、これから郵趣界に発生するであろう問題なども、ある程度予測できればそれに越したことはないと思います。2019年の今、郵趣の世界で問題となっていることは、1999年の時点での警告を見逃さなければある程度回避できたかもしれません。逆に、このままでは2039年に問題となりかねない火種は、現時点で既に見えているのかもしれません。

そのためにも、まずは現状を的確に把握しようと思ったわけです。ところがこれが、まぁ~大変だ。あまりに情報量が多すぎてアップアップなのが正直なところです。情報は集めるだけではダメで、自分のフィルターに通さないと意味がありません。しかし、その処理だけで精一杯なのが正直なところです。