台湾で出会ったドンバス地域切手

今年(2023年)8月11-15日に台湾・台北にて開催された国際切手展『TAIPEI 2023』(第39回アジア展)の切手商ブースに出展していた『TAJIKISTAN』(タジキスタン)より買った切手の紹介です。

いずれもロシアが国際法を無視し占領しているウクライナ東部のドンバス地域、ドネツク・ルガンスク人民共和国で発行されたという代物です。両国では2015年より独自の切手を発行し続けているわけですが、特に2022年のウクライナ戦争勃発以来、入手が難しくなっています。まあ戦争開始までに国際切手市場に出回った分についてはなんとか…といったところですが、中には高値をふっかけてくるケースもあります。

まずこれは2016年11月4日にドネツク人民共和国が南オセチア共和国と共同で発行したもの。南オセチアもドンバス地域同様、やはりロシアの支配下にある地域で、国際的にはジョージアの一部と認識されています。上下の線がガタガタなのがそれっぽいですね。ハサミでジョキジョキ切られたのでしょう。

そしてこれが問題、2019年にルガンスク人民共和国が発行した建国5周年の切手です。ところがこれ、シールの切込み線が入っておらず、目打のように見えるのは単にそれっぽい模様が印刷されているだけです。斜めにしてみると、切込み線が入っていないのがおわかりいただけるかと思います。端的に言えば実物の切手をスキャンして印刷しただけのように見えます。これだけ聞くと単なる偽造コピーなのですが、しかしシール用紙ではあるようなのです。

そこで考えられるのは、切手の増産を迫られたルガンスク郵政当局が切手の画像スキャンデータをシールラベルに印刷して無目打切手として販売した、ということです。そもそも万国郵便連合(UPU)には切手として一切認められていないので、元からラベル扱いの代物ではあります。品質も粗悪でそれこそ日本の家電量販店で売っている印刷用ラベルシールのような紙で作った代物も少なくありません。そういう意味では本物か偽物かという議論そのものが非常に難しく、なのでこの切手に関しての判断は今は保留です。

さすがタジキスタンのオヤジが販売していた切手は一味違います。とても素人にはおすすめできません。まあ、今回はジョークで買っても全く問題のない程度のお値段でしたが。