切手収集家を描くフランソワ・バロー作品

5月18日から22日までスイス連邦のティチーノ州ルガーノで開催されていた国際切手展『HELVETIA 2022』は無事に終了したようです。作品返却など残作業はありますが、とりあえず現地での展示期間は終わりました。今回はコロナ禍やウクライナ戦争などの影響に見舞われた切手展となりました。特に戦争は大きなリスク要因で、現地に行こうにも日本からスイスへの航空ルートが冷戦時代と同じくアラスカ経由となり余計に時間を要するなどの不便を強いられたようです。

結局のところ切手展とは郵趣という趣味の一イベントであり、開催に大げさな意義を見出す必要があるのかは意見が分かれるでしょうが、私個人としては国際的な社交の場である切手展が開催され続けることには大きな価値があると確信しています。その意味でもHELVETIA 2022が無事に開催されたことの意味は決して小さくありません。今回は日本人が切手作品を出品した3年ぶりの世界展となりました。日本を代表して現地に赴いた吉田敬コミッショナーによる連日の報告は恐らく、現時点で日本語で読める唯一の切手展リポートとなっており、大変貴重な資料になると思っています。

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さて、これはスペインで2020年10月16日に発行された、切手収集家を描く切手です。左下の穴がルーペになっている変わり種切手として話題になりました。裏を見ても糊らしきものは見当たりません。発行国はスペインですが、この絵を描いたのはHELVETIA 2022開催地であるスイスのフランソワ・バロー(François Barraud)だったりします。

この絵画のタイトルは『Le Philatéliste』。そのまんま『郵趣家』ですね。1929年の作品だそうですが、約1世紀が経過した今なお世界中でこのような光景があります。当然ウクライナでもそうなのですが、5月に予定されていた国内切手展『Укрфілексп 2022』(UKRFILEXP 2022)は侵略による戒厳令の影響で延期されました。切手展の開催は平和であるからこそ可能です。