不穏なアルメニア初の刺繍切手?

アルメニア郵政は昨年(2022年)12月19日に絨毯の切手を発行しました。これは同国初の刺繍切手で、フンドゾレスク絨毯に使われている柄の一部が意匠になっています。

左側が表面、右側が裏面で、裏面の剥離紙を剥がせば貼れるということのようです。目打は絨毯を模しています。まあ、こういう刺繍の切手はたまに世界のどこからか発行されています。しかし特筆すべき点が3つほどあります。

まずはじめに、アルメニア郵政によれば、この絨毯はアルツァフやシュニク地方といった絨毯作成の中心地では典型的なものであると説明されています。アルツァフとは同国がアゼルバイジャンと係争中のナゴルノ・カラバフのことです。つまりこの切手はここ数十年来両国間の火種となっているナゴルノ・カラバフの領有権をしれっとアピールしている切手なのです。2020年の紛争でアルメニアは事実上敗北し、つい最近も両国間で小競り合いが発生しています。

そして2つ目。この切手を購入しようとした際、いやに値段が高いのが気になってはいたのです。まあ額面は3,000ドラムで、これは日本円で約1,000円。しかしその7~8倍の値段で販売されていたため、大胆なプレミア価格で販売しているのかと思ったら、なんと5枚も届きました。そう、この切手は5枚単位で通販を行っていたのです。そりゃ高いはずだわ。

そして最後、この切手はアルメニアから直接届いたのですが、実は他の切手も同時に注文していました。しかしこの刺繍切手だけが先に届きました。これは謎です。以前にアルメニア郵政に切手を注文した際には在アメリカのHayPost USA Corpより届けられましたが、もしかしたら刺繍切手だけはアルメニアからの発送ということになっているのかもしれません。残りの注文分の切手が届いたら、このへんははっきりするでしょう。