決着はチェスで…アルツァフ共和国最終章

アルメニアとアゼルバイジャンが領有権を争ってきたナゴルノ・カラバフ情勢が風雲急を告げています。19日にアゼルバイジャンが対テロ作戦と称して、同地域にてアルメニア系勢力が実効支配するアルツァフ共和国(自称)に対して軍事攻撃を行い、20日に停戦を決定しました。どうやらアルメニア系勢力が事実上降伏した模様で、武装解除にも応じる意向とのことなので、アルツァフ共和国は風前の灯で、消滅はもう時間の問題と思われます。

これは昨年(2022年)9月30日にアルツァフ共和国が発行したチェス・オリンピアードのメダリスト切手です。2022年大会はバーラト…もといインドのチェンナイにて開催され、アルメニアは銀メダルを獲得しています。…今回の紛争ではナゴルノ・カラバフで32人が死亡し、200人以上が負傷したと報じられています。チェスでの決着なら死傷者が出ることもなかったでしょうに。

この切手は裏面も興味深く、裏のり式切手なので糊が引いてありますが、ツルツルではなくザラザラなのです。この写真では見えにくいかもしれませんが、よく見ると細かいツブツブが見えます。

ここ数年、郵趣の世界におけるデッド・カントリーとしてアイスランド(2020年終了、2023年に復活)、BIOT=イギリス領インド洋地域(2021年終了)などが挙げられてきましたが、いずれも国・地域は存続しており、郵政部がなくなったわけでもありません。しかしアルツァフ共和国の場合は(自称ですが)国家そのものが存亡の危機に瀕しており、このままアゼルバイジャンが全土を掌握し国が消滅した場合は名実ともにデッド・カントリーになると思われます。