軽く扱うべきではない土侯国切手

1970年に開催された大阪万博に関するシャールジャ(シャルジャー)の切手です。人によっては見慣れた切手かもしれません。下の切手にはタブが付いていますが『シャルジャーは切手で参加』と日本語で書かれており、これもまた見慣れたという方もいるでしょう。典型的な土侯国切手です。

確かに当時のパンフレットを開いてみてもシャールジャの名前は参加国に出てきません。当時、アラブ首長国連邦はまだ存在せず、連邦を構成している国の中で大阪万博に参加したのはアブダビだけです。土侯国切手という形で切手を収入源にしなければならないほど財政的に苦しい国が大阪万博に参加するというのはやはり難しかったものと思われます。

だからこそせめて『シャルジャーは切手で参加』という意図があったというなら…もしこの切手にシャールジャ政府の思いが込められているのなら、時代を物語る貴重な証人として扱うべき切手なのではないかと思います。土侯国切手は切手代理発行を委託されたエージェントが好き勝手に発行したという印象が広く流布していますが、そのイメージを真っ向から否定する切手ということにもなります。土侯国切手だから軽く扱ってよい、という考え方には全く賛同できません。然るべき研究が行われるべき対象だと考えています。