STAMP-SHOWとTICCは別日程にすべきである

今年(2024年)のスタンプショウ改め『STAMP-SHOW2024』は26日から28日までの3日間、東京・浅草にある東京都立産業貿易センター台東館の6、7階にて開催されました。

私は1日目と2日目に参加し、2日目にはスタンプショウのあとに日本橋のロイヤルパークホテルにて開催されていた『東京国際コイン・コンヴェンション』(TICC)にも参加して若干の買い物をしてきました。

もちろんスタンプショウでも買い物はしたのですが、基本的にストックブックなどのまとめ売りばかりなので、単品で考えると1枚数十円程度にしかなりません。なのでこの日の最も高い買い物はこれでした。

1993年にクウェートで発行された紙幣です。湾岸戦争からのクウェート開放から2年を記念したものですね。一部が透明になっていて、こういうのに弱いですね。いわゆるポリマー紙幣ですね。

さて…ここからは私の、今回のスタンプショウに対する所感をダラダラ書いていくだけなので、ここで読むのをやめるのも一興です。

スタンプショウとTICCは毎回、両者ともに東京都内での開催で、日程も4月下旬と比較的近いです。今年に限って言えば全く同じ日程で、しかもフランス大使館が後援団体に名を連ねていることまで同じ。いつもはスタンプショウにブース出展している、コイン商を兼ねている切手商は今回はだいたいTICCに参加している印象でした。一部は両方にブース出展していましたが、そういうのがなかったらスタンプショウのディーラーズ・ブースはさらにスカスカになっていたでしょう。

この両イベントの性格は大きく異なるので単純に比較はできません。後者は日本唯一の国際的コインイベントで、それだけに開催地は毎回このロイヤルパークホテルズのフラグシップホテル。各国造幣局が出展するほか、海外のコイン商も多く参加しています。郵趣の世界で言えば、切手コレクションの展示がない国際切手展と言えましょうか。なので何度も言いますが単純な比較はできないのです。しかし、切手とコインはセットで語られることが多く、故に同じ時期に開催されていると、どうしても比較されがちです。

スタンプショウとTICCの日程かぶりは、スタンプショウにとって良いことではないな、ということを実感した今回のイベントでした。百害あって一利なしとまでは言いませんが、スタンプショウはTICCと日程が被らないようにするべきと私は考えます。それにはいくつかの理由があります。

まず第一に切手イベントの華であるディーラーズ・ブースの出展者減少です。買う側からすれば選択肢が狭まってしまう。確かにブースが減ればそのぶん通路等は余裕ができますし、売る側からすれば競合相手が減るという利点があるかもしれません。なので百害とまでは言いません。しかし、やはりディーラーズ・ブースはモノを売ってなんぼです。

昨今の切手・コイン商はコインに流れがちと聞きます。なぜなら売っている物の平均単価はコインのほうが高い。両者とも高価なものも売ってはいますが、数十万、数百万する硬貨が売れていくのがTICCです。今回のTICCでの個人的な目撃談を述べると、これからクラシックコイン収集を始めようとしていると思しき老夫婦が、切手商でもある某店ブースにて百枚近い1万円札をドンと出して江戸時代のコインを1枚購入している光景に出くわして、思わず驚いてしまいました。

そりゃ確かにコインのイベントに出展したい気持ちになるのはわかります。ちなみにそこはスタンプショウにも出展していたので、もう心の中で感謝するしかなかったです。

切手とコインは全く違うもので、比較するのはおかしい、というのはその通り。しかし切手とコインは(兼任する古物商がいるように)セットで捉えられがちで、同じ時期にイベントを開催してしまうとどうしても場内のにぎわい、熱量の差が比べられてしまう。これが第二の理由です。そりゃねえ、TICCは年に1回の国際的イベントなのですから参加者の熱量はものすごいものがありますよ。スタンプショウの会場から移動したら全く雰囲気が違うのがわかります。今はやっていませんが、新型コロナ禍の前までは造幣局もTICCにて特別コインセットなんてのをイベント限定、数量限定で販売して、毎回長蛇の列ができてましたしね。

一方でスタンプショウは色々な意味でまったりとしていて、そこまで殺伐としているわけでもない。それはむしろ良さなのでしょうし、あまり混むのも困りものですが、わざわざTICCと比較される愚を犯していることが問題なのです。やはり混まないイベントは世間から注目されないし、枯れたイベントと思われてしまう。なぜ毎年夏冬のコミックマーケットが世間で注目されるのか、それは参加者数が半端なく多いからです。

第三に今回思い知ったのがスタンプショウのTICCに対する片思い疑惑です。今回、スタンプショウの会場内ではTICCのイベント案内がありましたが、その逆はなかった気がします。とはいえ、ここは私も短時間しかTICC会場にいなかったので見落としたかもしれませんので、一応は『疑惑』としておきました。

ここまで読まれた方の中には、私が相当なTICC嫌いだと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそも私はコイン収集も行っていたこともあり(最近は熱心ではないですが)、元々コインイベントは好きなのです。造幣局から未だに毎年なにかコイン商品は買っていますしね。私は米国株のETF買うより金貨を買うほうが好きなのです。

閑話休題。では何をすべきか?

私としてはもうスタンプショウはTICCと開催時期を明確にずらすべきと思っています。両イベント間で事前にすり合わせるのです。もちろん会場の予約があるので開催日程を思い通り決めることはできないでしょうし、切手趣味週間に合わせて開催したい意向もあるでしょう。しかし、ならばせめて開催場所を東京から各地方に移して、毎年違う場所で開催するなどの工夫くらいはやってもいいと思います。アメリカ合衆国の『Great American Stamp Show』だってそうじゃないですか。まあ展示用のフレームを各地域に持っていくのは大変でしょうけどね。

何度も申し上げますがスタンプショウはわざわざTICCと比較される愚を犯すべきではありません。ただでさえ同じ日程にしたらディーラーズ・ブースの参加団体を持っていかれちゃうんだから。