ロシアとベラルーシがPostEuropから追放

先日、ロシアとベラルーシがPostEurop(欧州郵便事業者団体)から追放されたというニュースに接しました。言うまでもありませんがロシアはウクライナを軍事侵攻中、ベラルーシはロシアの側につくということで既に2022年7月に資格停止になっていましたが、このたびメンバーから完全に外されたということです。

PostEuropは欧州内での郵便物の交換を簡素化することを目的として作られた万国郵便連合(UPU)内の組織です。両国はそこから抜けたわけですが、とはいえUPUには引き続き加盟し続けていますし、国際郵便の受け渡し自体には問題がありません。そのせいか、この追放について報じているのは主にウクライナのメディアであって、全体としてそこまで話題になっているようには見えません。むしろ2022年の資格停止のほうが広く報じられていました。つまり、もともと資格停止だったものが追放処分になったところで、実態はあまり変わらないというのが世界の評価なのでしょう。

それでも両国からの軍事的脅威を今まさに受けているウクライナにとっては意味のあることなのでしょう。両国が世界から孤立しているということをアピールすることにもなります。ここからは想像ですが、この追放はウクライナが提案し、それに反対する理由もない残りの加盟国がお付き合いしたということではないでしょうか。もちろんPostEurop自体はウクライナに同情的なのでしょう、2023年のヨーロッパ切手(旧・CEPT切手)のテーマはウクライナの提案により『平和-人類の最高の価値』となりました。私もウクライナは被害者であると考え一日も早いロシアの無条件撤退を望んではいますが、今回の追放劇はウクライナによる世界へのアピールという、それ以上の意味は持っていないようにも思います。

これはベラルーシが2022年5月6日に発行したヨーロッパ切手です。この年のテーマは『物語と神話』で、スラヴ神話に出てくる精霊のレーシー、ルサールカが描かれています。この2カ月後にベラルーシはPostEuropの資格停止処分を受け、現在(2024年)のところこの年を最後にヨーロッパ切手を発行していません。その一方でPostEuropのメンバーでもないのにヨーロッパ切手を発行している自称国家もあるのですが。