切手収集はこうあるべき、という固定観念を乗り越えよ

本日、『郵趣』6月号が届いておりました。

日本郵趣協会の福井和雄理事長による巻頭言『クローズアップ』、タイトルは『女性収集家の台頭』。先日のスタンプショウ2019におけるフリースタイル切手展2019のグランプリ、また第20回トピカル切手展のグランプリがいずれも女性であったことが紹介されており、鑑賞する側も女性も多かったようであると。

こうした事実や福井理事長なりの現状認識を踏まえて、女性ならではの収集を発展させることを期待したい…という、また例によって具体的な未来像は他人に丸投げというオチなのですが、しかし『「切手収集はこうあるべき」という固定観念を乗り越え』ようという福井理事長の言葉には全面的に賛同します。

ここで、最近の日本の特殊切手の主力購買層とされる30~50代の女性に限った話をしたいと思います。彼女らは既に『「切手収集はこうあるべき」という固定観念を乗り越え』ているように見えます。先日もこのウェブログで書いたとおり、あくまで私なりの観察の結果ではありますが、彼女らは大方、以下のような行動を取っているように思います。

  • すべての新切手を買うわけではない。自分の琴線に触れた切手のみを買う。
  • あくまでも切手は郵便物に貼って使うもの。いくらデザインが良くても使う機会がなさそうと判断すれば買わないことも。
  • これは気に入ったとなれば、10シート単位でまとめ買いをすることも。

もちろん一概に言えるものではありません。しかし、彼女らの買い方は「広く、浅く」。従来の切手収集家とはまた違う発想をもって行動しているように見えるのです。中には以下のような行動を取る方もいます。

  • 新しく切手が発売されることや、新切手への期待などをSNSで発言する。
  • 新切手や風景印、小型印に関する情報をSNSで探し、共有する。

はい、この文章を読んでいるあなた。きょう5月28日は国土緑化の切手が発行された日ですが、最近、発行されたばかりの新切手について、ツイッターなどのSNSで発言したり、リツイートなど情報共有しましたか?…答えが「いいえ」の場合、その理由はなんですか?

  • 「最近の日本切手は集めてないから」
  • 「最近の切手は集めてないから」
  • 「日本切手は集めてないから」
  • 「ツイッターやってないから」
  • 「今、日本にいないから」
  • 「わざわざそんなことしない」
  • 「忙しいから」
  • 「ツイッターって何?」
  • 「へー、国土緑化の切手ってまだ発行されてるんだ!」
  • 「Google検索で引っかかっただけで、切手は集めてないんです」

皆さんだいたい、こんなことを思ったんじゃないでしょうか。もちろん、別にこれが悪いって言ってるわけじゃないんです。何を集めるのか、何を発信するのか、そんなことは個人の勝手。しかし、いわゆる『従来の切手収集家』って、新切手のことなんかツイッターでわざわざつぶやいてないよね? というのが私の最近の観察結果なのです。

ところが一方で、こうした新切手の話題をツイッターにつぶやく人たちって、必ずいるんです。私も発売日前後にツイッターでチェックしてますが、もう必ずいます。実際に買った切手の画像を添えてつぶやいたりしてるわけですよ。もちろん毎回同じ人ではない。しかし、こういう人たちが最近の切手を買っている層なわけです。発言するだけじゃないですよ、郵趣の情報収集も今やSNSが主戦場です。

これだけでも、一部の視野が狭い老収集家がのたまう「最近の若い人は切手に興味がない」という言葉が大嘘であることがわかります。自分が見えている世界だけで判断してしまっているだけ。まあそれは私もそうです。常に視野を広げようと努力はしているつもりなのですが…そのためには、福井理事長の言うように『「切手収集はこうあるべき」という固定観念を乗り越え』ていかねばならないのしょう。将来、老害と言われないように精進します。