『世界遺産シリーズ』第13集

8日に特殊切手『世界遺産シリーズ』第13集が発売され、翌9日に銀座郵便局への通信販売予約分が届きました。雨の中ご苦労さまです。今回は『百舌鳥・古市古墳群-古代日本の墳墓群-』がテーマです。個人的には、百舌鳥古墳群のある大阪府堺市は母親の出身地ということもあり身近に感じているところです。

さて今回、発行案内を見て軽く驚いたのが各古墳の名称です。というのも、宮内庁による名称を切手に明記しているからです。例えば長年、仁徳天皇陵と呼ばれている場所は本当に仁徳天皇が埋葬されているか学術的には論争があるということで、近年は歴史教科書などでは古墳のある場所の地名(大仙町)にちなみ大仙陵古墳という呼び方に置き換えられているわけです。今回の切手に使われている古墳の名称を見てみますと、

  • 仁徳天皇陵→大仙陵古墳、大仙古墳
  • 履中天皇陵古墳→上石津ミサンザイ古墳、石津ヶ丘古墳
  • いたすけ古墳(そのまま)
  • 御廟山古墳(そのまま)
  • 応神天皇陵古墳→誉田御廟山古墳
  • 仲姫命陵古墳→仲ツ山古墳
  • 津堂城山古墳(そのまま)
  • 仲哀天皇陵古墳→岡ミサンザイ古墳
  • 白鳥陵古墳→軽里大塚古墳

と、置き換えが進んでいる名称がある一方、現在もそのまま使われている名称もあります。ここに登場する仲哀天皇(14代)、応神天皇(15代)、仁徳天皇(16代)、履中天皇(17代)は実在性も含めて学術的な論争が存在しており、こういった場合は陵(みささぎ)の名称も揉めるということでしょう。ちなみに、仲姫命というのは応神天皇の皇后です。

という話題を取り上げてみましたが、しかし近年の歴史教科書などに見られる名称の置き換えに、私自身は全面的に賛成しているわけではありません。正しい名称を使う必要があるのはもちろんなのですが、しかしそこに差別的な意図がない限り、長年使われてきた名称を無理に変更することもないのではないか?と考えています。