昨年(2021年)3月末、日本郵政が『電子切手』の商標登録を申請したものの、今年2月に拒絶されていたのをご存知でしょうか(商願2021-038541)。
2021年3月31日、日本郵政は特許庁に対し『電子切手』という語句の商標登録を申請しましたが、特許庁は9月8日に商標登録を不可とする旨を通知しました。拒否の根拠として使われているのが、今から遡ること約四半世紀前、アメリカ合衆国郵便公社(USPS)が1999年よりサービスを開始した電子切手を取り上げた日本の報道記事でした。例えば以下のような記事が参照されています。
米国郵政公社、Stamps.comとE-Stampに電子切手の販売を認可
(インプレス、1999/8/10)
https://internet.watch.impress.co.jp/www/article/1999/0810/stamp.htm
米Stamps.com,電子切手発行サービスとWordの統合で米マイクロソフトと協力
(日経クロステック、2002/10/24)
https://xtech.nikkei.com/it/free/ITPro/USNEWS/20021024/10/
これら記事では『電子切手』というのは事前に決済した上でインターネットから印刷して使う切手という意味で使われてるけれども、これを『第36類・前払式支払手段の発行』のために商標として登録したところで、単に商品の特徴を説明しているだけであるし、仮にそれ以外のサービスで使うつもりなら使う人を誤解させる可能性があるから、いずれにせよ商標登録はダメ、というのが却下された理由のようです。日本郵政はこれに有効な反論を出せなかったようで、申請は今年2月に正式に没となりましたが、このように記録は残っています。
さて、日本郵便はこの『電子切手』を商標登録して、何に使うつもりだったのでしょう?今さら悪用防止のための予防的な商標登録ではないでしょう。あるいはとんでもないイノベーションを画策しているのかもしれません。今後に期待したいところです。