訴訟沙汰になった自由の女神像切手

7月4日はアメリカ合衆国の独立記念日です。同国にとってこの日が非常に重要なのは言うまでもなく、この日に色々重要な(アメリカにとっては誇らしい)出来事を合わせたりします。2001年の同時多発テロ事件で閉鎖された『自由の女神像』の展望台が再開されたのも2009年のこの日でした。というわけで今回は自由の女神像の切手です。

以前、アメリカ郵便公社(USPS)が2010年に発行した自由の女神像の切手が、自分の作ったレプリカ像を無断で意匠に使用したものだとして像の作者であるネバダ州在住の彫刻家ロバート・S・デビッドソン(Robert S. Davidson)に訴えられたという事件について書いたことがありますが、肝心の切手をご紹介していませんでした。それがこれです。

3種類ありまして微妙に違いますね。上からAPU社、AVR社、SSP社製のもので、それぞれ刷色の青みが強い、目打数が最大、刷色が緑色寄りといった特徴があります。このように区別がつくのでスコットカタログでも別々の番号が振られています。日本でも国立印刷局製造の普通切手を一時期Cartorが製造したりもしていましたが、しかしここまで見た目や仕様が違っていいのかいなと思っていまいます。お国柄の違いなのでしょうか。

なお切手には2011と書いてありますが発行されたのは2010年12月1日のことでした。実は2011年にはまた別に切手帳が発行されるなど、この他にもバージョン違いが存在します。

さて先述の訴訟ですが、裁判ではそもそも『自由の女神像』のレプリカ像にどこまで独自性が認められるかという点が争われたようです。USPS側はレプリカ像に独自性を認めるには微妙であると主張しました。しかし2021年にはUSPS敗訴の判決が下り、原告側に約360万ドルの賠償金を支払うよう命じました。事前に切手への使用を打診する場合にも5,000ドル以上は支払ったことがない(らしい)USPSはにとってみればこの金額は大きな痛手で、USPSは連邦巡回控訴裁判所に控訴したと思われます。

Dispute over Statue of Liberty replica on 2010 U.S. Postal Service stamp ordered to trial
(Linn’s Stamp News、2022/5/2)
https://www.linns.com/news/us-stamps-postal-history/dispute-statue-liberty-replica-2010-usps-stamp-ordered-trial.html

Judge orders USPS to pay nearly $3.6 million for Lady Liberty stamp image
(Linn’s Stamp News、2022/5/4)
https://www.linns.com/news/postal-updates/judge-orders-usps-to-pay-millions-lady-liberty.html