本人ではないマリリン・モンローの切手

8月4日はマリリン・モンローの命日です。正確には死亡していることが発見されたのは1962年8月5日ですが、状況からして亡くなったのは前日の夜であろうということで、8月4日を命日としているようです。謎めいた死から今年で60年、未だに世界中からマリリン・モンローの切手が発行されています。お察しのとおり、その大半は切手代理発行エージェントによる外貨稼ぎ目的の切手です。今回はその中でも興味深い切手をご紹介いたしましょう。

これは2014年12月15日付で、中央アフリカ共和国名義で発行されたマリリン・モンローの切手です。実際に作ったのはリトアニアにある切手代理発行エージェントStamperija社です。1枚目は問題ないのですが、問題は2枚目のシートなのです。右端にある切手にご注目ください、メガネをかけたモンローが描かれています。ところがこれ、モンロー本人ではなく、モンローに扮したアーティストのジミー・ジェームズ(Jimmy James)氏だったのです(白黒画像はPinterest投稿画像)。

切手代理発行エージェントは既存の報道写真などから切手に使えそうなものを持ってきて、それを基にして切手を作ることがあります。そして恐らくは撮影者、著作権者に許可を取っていません。この切手も同じような方法で作ったのでしょう、この別人ニュースを2017年に報じた以下の記事では元ネタとなった写真を見ることが出来ます。もともとはアメリカ合衆国ロサンゼルスのメガネ店”L.A.Eyeworks”が1991年に作った宣伝用ポスターだったようです。

Texas Marilyn Impersonator May Sue Central African Republic for Image on Stamp
https://outinsa.com/texas-marilyn-impersonator-may-sue-central-african-republic-image-stamp/

当然のことながらStamperija社は使用許可など取っているわけもなく、勝手に自身の写真を使われる形となったジェームズ氏は中央アフリカ共和国を訴えると言い出す始末。しかし実際に発行したのはStamperija社なので、訴えるならそっちなのですが、ジェームズ氏はそんな事情などご存じなかったのでしょう。

その後どうなったのかは知りませんが、少なくともこのニュースが報じられた直後、Stamperija社はこの切手を販売停止にはしなかったものの、販売サイトから画像は取り下げました。この状態は現在も続いています。そしてStamperija社は相変わらず、中央アフリカ共和国を含む複数の国名義でマリリン・モンローの切手を発行し続けています。