ロシアで国際切手展『РОССИКА-2022』開催中

2022年10月7日から14日まで、ロシア連邦サンクトペテルブルクにあるポポフ中央通信博物館にて国際切手展『РОССИКА-2022』(ロシカ2022、ROSSICA 2022)が開催されています。ロシカというのはロシアに関する(切手)といった意味で、日本で言えばジャポニカに相当する言葉でしょうか。切手展の規則を案内している下記のサイトを見てみると、国際フィラテリスト・ビエンナーレなる仰々しい副題がついています。

СПЕЦИАЛЬНЫЙ ВЫСТАВОЧНЫЙ РЕГЛАМЕНТ МЕЖДУНАРОДНОГО ФИЛАТЕЛИСТИЧЕСКОГО БИЕННАЛЕ «РОССИКА-2022»
http://www.philately.ru/philatelyru_announcement/megdunarodnaya_vistavka_rossika-2022_v_sankt-peterburge_7-14_oktyabrya/629/

国際郵趣連盟(FIP)、もしくはヨーロッパ郵趣連盟(FEPA)の審査基準でGold以上を獲得した作品でないと出品できず、審査もFIP基準に準拠するなど、国際切手展としての体裁は整えていますが、FIPやFEPAから認定を受けた国際切手展ではありません。各国にコミッショナーは設定されておらず、ロシア国内の郵趣団体のほか、モナコのモンテカルロクラブ、欧州切手協会(AEP)、英王室ロンドン郵趣協会(RPSL)の会員などが出品できるようですが、ウクライナに侵略戦争を仕掛けている最中の国の切手展に国外から出品者があったのか甚だ疑問です。一応、ヨーロッパからの出品があったとされていますが…。

Биеннале «Россика-2022»
http://www.philately.ru/article/philately/44626/biennale-rossika-2022/

外国人(つまりロシア人以外)の作品は会期前半の10月7日から11日まで展示されますが、結局は国際的な流通が滞っていることを理由にロシア国外からの出品はPDF形式で出品することとなっており、これは今年2月のロンドン国際切手展と同様です。まあ流通が滞っているのはロシアの自業自得なのですが。

切手展の様子がドンバス郵便(ドネツク人民共和国郵政)によってツイッターに上げられていたので転載します。撮影日は不明ですが、なんとなく作品数が少なく、人も少ないですね。見る限りでは切手商ブースもありません。

どうも日本人の感覚からすると中途半端な、国内展と国際展がごちゃ混ぜになったような切手展にも思えますが、初日にはセルゲイ・ラブロフ外相が挨拶を行うほどの力の入れようです。

Foreign Minister Sergey Lavrov’s greetings to the organizers, participants, and guests of the Rossica-2022 International Philatelic Exhibition
(ロシア連邦外務省、2022/10/7)
https://www.mid.ru/ru/foreign_policy/news/1832916/?lang=en

さてこのРОССИКА(ロシカ)、2013年に第1回目が開催され、以降これまでに何回か開催されています(ときにはロシア国外での開催も!)。ロシア関連切手の振興並びに収集家同士の国際的な懇親を目的とした、ロシアの郵趣団体が主催し政府の支援を受ける大真面目な切手展であることは間違いないのですが、少なくとも今年に限ってはロシア国外からは白い目で見られるイベントになりそうです。翻ってウクライナは今年5月に開催予定だった全国切手展『Укрфілексп 2022』(UKRFILEXP 2022)の延期を余儀なくされています。戦争の中から生まれる郵趣品があるのは当然のことですが、郵趣活動はやはり平和があってこそのものです。