2022年7月13日、オーストリア郵政は同国出身の作曲家、歌手、詩人のゲオルク・クライスラー(Georg Kreisler)生誕100周年の記念切手を発行しました。
黒縁の大きめのメガネをかけておどけているような姿ですが、ユダヤ人であったため波乱万丈な前半生を過ごしました。1938年にナチスドイツがオーストリアを併合したためアメリカへ逃れ、米軍では通訳として終戦直後のドイツにて勤務しています。その頃から自作のシャンソンで舞台に立っていたそうで、再びヨーロッパに戻ってこられたのは1956年。以降はオーストリア、ドイツ、スイスで暮らし、2011年にザルツブルクにて89歳で亡くなりました。
クライスラーは『鳩に毒を盛る』(Geh’n ma Tauben vergiften)などの曲を残しています。左下にいる鳩はそのことを示しています。
ところでクライスラーの誕生日は7月18日ですが、切手発行日は7月13日でした。なぜ同じ日にしなかったのかは不明ですが、そこまでこだわりはないのかもしれません。もっとも、誕生日の5日前に発行しておけば市中に十分な量の切手が出回りますし、下世話な話、初日カバーと生誕100周年記念カバーを作るための切手が売れるという計算もあるのかもしれません。