来るべき時が来たというか、アルメニアのニコル・パシニャン首相がナゴルノ・カラバフのアルメニア系勢力による実効支配を諦め、アゼルバイジャンの主権を容認する発言を行ったと報じられています。パシニャン首相はナゴルノ・カラバフ内のアルメニア系住人の安全確保を条件としていますが、パシニャン首相はアゼルバイジャンとの平和条約をも視野に入れているようで、このままいけばアルメニアが実効支配下に置くアルツァフ共和国(ナゴルノ・カラバフのアルメニア側名称)は早ければ年内にも消滅しそうな状況です。
ナゴルノ・カラバフをアゼルバイジャンと認める発言 アルメニア首相
(朝日新聞、2023/5/22)
https://www.asahi.com/articles/ASR5Q771DR5QUHBI02D.html
まあアルメニアにしてみれば近年アゼルバイジャンは資源輸出を背景に経済成長が続き、2020年のアゼルバイジャンとの紛争に敗北してアルツァフ共和国は領土の大半を失い、後ろ盾のロシアはウクライナ侵略戦争でボロボロ、こりゃもうダメだと判断しても不思議はありません。
問題は風前の灯となったアルツァフ共和国です。これは2022年11月3日にアルツァフ共和国が発行した無目打のシール式切手で、『我々はアルツァフである』と愛国心を訴えています。2020年紛争以来、アルツァフは関連切手を発行しておらず、これがまあ関連といえば関連の切手かなという感じです。この切手は敗戦のショックに打ちひしがれたアルツァフ国民を何とか再び奮い立たせようという目的で発行したのでしょうが、いよいよアイスランド、イギリス領インド洋地域(BIOT)に次ぐ2020年代で3番目のデッド・カントリーとなる日はそう遠くはなさそうです。