今年(2023年)8月11-15日に台湾・台北にて開催された国際切手展『TAIPEI 2023』(第39回アジア展)の切手商ブースにて出店していた『TAJIKISTAN』(タジキスタン)のオヤジから、同国で発行されたと称する『TAIPEI 2023』記念切手の質がちょっと低いのではないかという記事を前回書きましたが、実は切手は序の口です。
本当にやばいのはこの切手の初日カバーです。この記事のタイトルのクエスチョンマークが前回と比べて増えているのにお気づきになられた方は非常に鋭い。まあ、ご覧いただいた方が早いと思います。
これです。もう明らかなツッコミどころがありますね。TAIPELって何よ? しかもこれ、よく見てみると押印日付が入ってないので、初日カバーですらないんですよね。これでは単なる記念スタンプです。
そう推測せざるを得ない現場もちゃんと押さえています。これは、くだんのブースで店主のオヤジが奥で作業している机の写真なのですが、よく見ると明らかにスタンプのようなものと、初日カバー用の封筒が置かれているのがわかると思います。つまり、このオヤジはここで初日カバーをせっせと作成していると推測されます。
一国の郵政の初日カバー(?)をこんなところで量産できるこのオヤジは一体何者なのでしょう。もしかしたら押印技能を取得して、日本でいうところのゆうメイトとしてここに派遣されているのかもしれません。何しろ、初日カバーの左下には『TAJIKISTAN POST』と、紛れもなくタジキスタン郵政公式であることをデカデカと書いています。そもそも、ここのブースの名前はズバリ『TAJIKISTAN』です。疑いの余地はありません。
しかしそうなると、この『TAIPEI 2023』の公式パスポートという名の押印帳に、タジキスタンのページがないことは解せません。国名はアルファベット順に並んでいるのですが、スペイン(Spain)の次がトーゴ(Togolese)になっており、タジキスタン(Tajikistan)があればこの間に入るはずです。この切手商ブースエリアに出展している各国郵政部は、それが代理であれ何であれ、必ずパスポートに押印ページが設けられ、該当する郵政部のブースにて消印をもらうことができ、各郵政部ブースでもそのための切手と押印が用意してあります。パスポートこそ発行がありませんが、日本の全国切手展(JAPEX)とかでも海外郵政のブースにはちゃんと押印用の切手が用意してあり、台紙に貼れば消印をもらえますよね。
ところが、このパスポートにはタジキスタンのページはなく、またタジキスタンのブースにそういう切手や押印といった用意は全くありません。大体ここのオヤジ、ブースからたまにいなくなるからね。まあ、基本的に一人でなかなか対応できないので、パスポートにはページを載せないでくれとあらかじめ言っていたのかもしれません。…と、こういう好意的な解釈ができないこともないですが、しかしやはりどうも怪しいと思ってしまうのが人情でしょう。
確かにこの初日カバーは怪しいかもしれませんが、とはいえ個人的にはこのオヤジはなかなか憎めません。次回はこのオヤジについての話をして、長くなってしまったここのブースの話題を終わろうと思います。