ポーランド初のクリプト切手

ポーランドが今年(2023年)2月6日にNFTアイテムが付いた切手、通称クリプト切手を発行しました。全部で4種類なのですが、発行数は10万、5万、2万、5千と異なり、最初の10万枚発行の切手は18.5ズウォティ(PLN)なのですが、発行枚数が少なくなるに連れて30.8、60.5、123PLNと、切手の額面は同じ3.90PLNなのに売価はどんどんプレミアム分が追加されていくというシステムです。例えば最高額の切手は現在のレートで123PLN=約4,200円で、あまりにアホらしいので最初の安い2枚しか購入していません。

で、今回のクリプト切手はこういう封筒に入っています。左のカシェ部分に4種類分の意匠が描かれていますね。カテゴリー1が発行数10万枚の最も安い切手で、2、3、4となるに連れて発行数が少なく、従って値段が高くなっていきます。切手のテーマは宇宙開発で、切手のデザインそのものは昨年(2022年)12月6日に発行されたものと同じです(区別がつくかは未確認)。

中を開けると切手がセットされているたとうが入っています。開くとこんな感じ。

これがポーランド発行第1号クリプト切手です。小型シートですね。左部分は通常通り使える物理的な切手で、右側部分には付随するNFT画像を譲渡するときに使う重要コードが書かれており、通常は銀剥がしやシールに覆われて隠されているのですがポーランドは丸見えスタイルなので、このようにぼやかさざるを得ないのです。ちなみに今回のNFTはERC-1155の規格に基づくものです。

封筒の中には英語とポーランド語の両方で切手の説明が書かれた紙も入っています。

ちなみにポーランド郵政はクリプトはがきなるものも発行していますが、これは物理的なはがきではなくERC-1155のNFTそのものなので私の興味の範疇外で、そもそもはがきは収集の対象外なのでスルーしています。

2019年にオーストリアがNFTアイテム付きのクリプト切手を世界で初めて発行して以来、ヨーロッパを中心にクリプト切手を発行する国が増えましたが、今回のような値段の付け方に象徴されるように、NFTのブームに郵政が悪乗りしている感は否めません。そのNFTも最近ではほぼ無価値だという意見が出始めるなど、現在の投機的なブームに一石を投じるような動きも出てきています。今回の場合、そもそもポーランドはweb3技術を敵視しているイメージがあるとして、ポーランド郵政によるクリプト切手参入を冷ややかな目で見る向きがweb3界隈にもあったようです。私も今のようなNFTブームはいずれ沈静化すると思っていますが、切手の世界では一儲けを夢見て参入してくる郵政はまだ当分出てきそうですね。

Post offices adopting NFTs leads to a philately renaissance
(コインテレグラフ、2022/9/23)
https://cointelegraph.com/news/post-offices-adopting-nfts-leads-to-a-philately-renaissance

Poland Post enters Web3 with NFT postage stamps
(Coinpaper.com、2022/10/22)
https://coinpaper.com/635/poland-post-enters-web3-with-nft-postage-stamps

「NFTは完全に価値がなくなった」 大手メディアの記事に仮想通貨コミュニティも反応
(コインテレグラフ、2023/9/21)
https://jp.cointelegraph.com/news/nfts-totally-worthless-mainstream-media-says-community-responds