イラン大統領がヘリ墜落事故で死亡

イラン北西部にある東アーザルバーイジャーン州にて19日にヘリコプター墜落事故が発生し、搭乗していたエブラーヒーム・ライースィー大統領やホセイン・アミールアブドッラーヒヤーン外務大臣を含む搭乗者全員が死亡したことが翌20日に確認されました。謹んで哀悼の誠を捧げます。これが中東地域の不安定化につながらなければいいのですが。

さてイランでは大統領経験者が切手になることはあまりないようです。生きている人物を切手にするのを極力避けるという原則があると思われるのと、やはりイランには最高指導者という、大統領よりも上の存在がいるため、どうしても切手にはなりにくいのでしょう。ちなみに現在の最高指導者は1989年に就任したアリー・ハーメネイー師ですが、切手になるのはもっぱら先代のルーホッラー・ホメイニー師に限られます。ここにはホメイニーの圧倒的な存在感と共に、生きている人物を切手にしない原則が働いているように思います。

これはホメイニー師生誕100周年にあたる2002年の8月29日に発行されたホメイニー師の切手です。しかし、ホメイニー師の切手はこのほかにもイランより30種類以上が発行されています(もちろんホメイニー師の没後)。やはり、イラン革命の指導者は強烈な存在感があります。

イランの大統領というのは最高指導者の方針に沿って行政の実務を進める存在なので、そういう意味では大統領の交代でイラン情勢が大きく替わることはないのかもしれません。しかし今回亡くなられたライースィー大統領は現在85歳のハーメネイー師の有力な後継者と目されていたこともあり、その突然の死がもたらす影響は当然のことながら小さくありません。中東情勢にこれ以上の不確定要素が増えるといよいよ収拾がつかなくなりそうで、うまいこと後継の大統領を選んでもらいたいと思っているのですが。