太平洋にあるフランス海外領土のニューカレドニアにて、フランスの地方参政権が与えられる住民の範囲を広げる憲法改正案がフランス議会にて可決されました。そもそも従来の規定はニューカレドニアの先住民であるカナックの権利を尊重する意味合いがありましたが、今回の憲法改正により比較的最近ニューカレドニアに移住した人たちにも参政権が与えられることになります。
しかし、この憲法改正に反発したカナックの住民が今月13日より抗議運動を開始し、死者が出るなどの事態に発展しました。フランス政府は15日に非常事態を宣言し、23日に現地入りしたエマニュエル・マクロン大統領が憲法改正の手続きは強行しないと発表したことでいくぶん情勢は落ち着いてきているようですが、世界有数のニッケル産地であるニューカレドニアをフランスが好きなようにさせることはないので、先住民の溜まった不満が今回のように再び暴発しない保証はありません。
これは2015年11月5日にニューカレドニアより発行された切手帳で、植物学者ベルナール・スプリン(Bernard Suprin)による固有種の花の写真が使われています。かように美しい自然を持つニューカレドニアではありますが、その内側に抱える住民同士の対立感情が癒えることはなかなかむずかしそうです。