アルツァフはまだまだ続く?ヨーロッパ切手発行

アルメニアは最近、独自の外交路線を歩み始めています。つい先日にはロシア主導の軍事同盟・集団安全保障条約(CSTO)からの離脱を表明し、フランスにカエサル自走榴弾砲を発注するなど、いよいよロシアと袂を分かとうとしています。挙句の果てには来年の大阪・関西万博にタイプAのパビリオンを出展する予定だったのが取りやめになってしまいました…これはまあ、あまり関係ないか。

さてアルメニアと言えば昨年(2023年)に事実上の自国領だったアルツァフ共和国(ナゴルノ・カラバフ共和国)がアゼルバイジャンに敗走し、同国政府はアルメニアに逃げ込み事実上の亡命政権となりました。アルツァフは1993年以降独自の切手を発行しており、領域内での郵便には使えたのですが、当然のことながら万国郵便連合(UPU)には未加盟で、国土を喪失したこともあり、もう切手発行はないだろうと思っていました。

ところが当の本人たちはこのまま終わる気はサラサラなかったようです。アルツァフ共和国はこのたび、今年度のヨーロッパ切手(旧・CEPT切手)を発行したようです。テーマは『水中の動物相と植物相』で、元々は2023年のテーマでしたが同年のテーマが急遽『平和-人類の最高の価値』となったことで今年にスライドされました。発行日は4月29日、ミッヘルカタログの番号も付与されている(No.258-259)と伝わりますが、郵便に全く使えない単なるお土産切手なので、どこまで切手と認められるかは不明です。うーん、もはやアルメニア政府からもそんな亡命政権は存在しないと(対外的には)表明されているのに、とことん自称国家を貫くのかアルツァフ。