東京ビッグサイトから消えたゆうちょATM

8月はコミックマーケット(通称コミケ)の季節です。コミケといえば好きなキャラクターに扮する、いわゆるコスプレが報道ではよく取り上げられます。見た目が派手でわかりやすいのでニュースフィルムの題材として使いやすいのでしょうが、本来は非商業の自費出版物を販売することがメインのイベントなのです。やがて一般企業によるブースも設けられ、様々なグッズも販売されるようになりました。

これまで当ウェブログでも何度か取り上げてきましたが、コミケと日本郵政は非常に深い関係にあります。企業ブースに出展してフレーム切手を販売したり、本業である荷物の搬出を行ったり。そして変わったところではコミケ主催者は同人誌の保管に昔からゆうパックの箱を使用してきており、効率良い封入方法を編み出しているため、ゆうパックの箱のサイズが変わった際には以前と同じサイズの箱をわざわざ特注で作らせて、これを今でも使っています。

実はまだあるのです。コミケは1年に2回開催されますが、大きなイベントということでどうしても買い物の量が多くなり、手持ちの現金が不足することがあります。また同人誌を販売するサークルの中には売上金を早めに銀行口座に入れてしまいたいという需要もあり、総じて銀行ATMが非常に重要な存在となります。現在のコミケ開催会場である東京ビッグサイトには色々な場所にATMが設置されていますが、一番大きな出入り口であるエントランス脇にはセブン銀行とみずほ銀行のATMが1台ずつ、そしてゆうちょ銀行のATMが3台設置され、コミケにおける現金出し入れの需要に応えてきました。

ところが昨年(2023年)12月31日をもってゆうちょ銀行のATMはなくなってしまいました。同日までは前回のコミケが開催されていたので、イベント期間中に問題なく使えたのですが、今回からは使えないということで一時期SNSでも話題になっていました。ゆうちょ銀行を使っている人も多いと思うので、これは少なからず痛手となったはずです。

もっとも、東京ビッグサイトに設置されているATMはコミックマーケットのためだけではありません。ゆうちょ銀行ATMの撤退は、キャッシュレス決済が浸透しつつある昨今の事情を反映してのものだと思われます。それにしても1台くらい残しておいてくれても、という気はしないでもないですが…。

コミケでは来場者数があまりに多いため電波状況が常に安定しているとは言い難く、キャッシュレス決済を行なうのに少々不安があるなどの理由でまだまだ現金決済のみを受け付けるサークルが多く、従って現金の需要も多いのです。それでも、徐々にキャッシュレス決済対応サークルが増えてきてはいるのですが。