上海に来てみれば、その繁華なること…

上海での国際切手展<CHINA2024>は3日までの開催でしたが、私は一足先に帰国し上海滞在中に撮りためた写真を確認するなどして旅を振り返り、さっそく当ウェブログに書くための作業を始めました。私にとって今回が初めて西側諸国以外の国・地域に足を踏み入れた体験であったこともあり、残った印象は非常に強いものでした。

切手展の会場となった上海展覧中心(〃センター)は1955年に竣工したスターリン様式の建物で、夜にはライトアップされるだけではなく、尖塔の先にある星が赤く光るという、日本にいる限りは体験できないであろうかつての社会主義の残り香を味わってきました。ちなみに、夜の写真を撮っていたのは私だけではありませんでした。

切手展会場だけではなく、上海を訪れた観光客が必ず訪れるであろう浦東新区の高層ビル街も見ましたが、その姿はまさに圧巻で、1900年にロンドン留学中の夏目漱石がフランスのパリを訪れた際に妻の鏡子に宛てた手紙よろしく「上海に来てみれば、その繁華なること、これまた到底筆紙の及ぶ所にこれ無く…」てな感じで、まあ噂には聞いていたもののさすが国家の強力な主導で開発を推し進めてきた経済都市との感想を滞在中に抱いたものです。

かつては列強の租界が置かれた地であり、現在は世界第2位の経済大国における経済の中心である上海は、その成り立ちから新旧の表情を併せ持つ街と言えますが、しかし近年は上海だけでなく中国全土で猛スピードで再開発が進められており、上海の昔ながらの町並みは急速に消えようとしています。それはかつて東京も体験したことなのですが、西側諸国とは違う政治体制のもとで行われる都市建設のスピードは日本人の想像を遥かに超えているように思います。

翻って上海における切手収集熱はどうか、どうも私が見た限りではかつて日本でも見かけた、切手を投機の対象とする風潮が未だに残っている気がしてなりません。その良し悪しを論じるつもりは毛頭ありません。切手がすっかり投機の対象として見なされなくなり(未だ昔のイメージを引きずっている人はいますが)、収集人口の消失すら危ぶまれている国から来た身としてはこういう雰囲気は非常に新鮮で、これが急速な経済成長を続けている国の切手収集の姿なのかと興味深く目撃しました。

というわけで3泊4日という短い中国訪問でしたが、現地で目撃し、体験し、考えたことなどを書いていければと思います。