2カ月前に郵便料金が値上げされたばかりですが、今後はどのように料金を改定していけばよいかという話題をちらほら見かけたのでご紹介いたします。
日本郵便「機動的な料金改定」を要望 総務省会合
(日本経済新聞、2024/12/4)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA02CQ80S4A201C2000000/
記事によれば12月3日、総務省で郵便料金制度の見直しに関する議論を行う有識者会議が開催され、日本郵便より出席した美並義人副社長が料金改定を機動的に行えるよう要望したとのことです。今回の値上げは消費税増税を除けば実に30年ぶりの値上げであったわけですが、日本郵便としては諸外国のように賃金や物価の上昇率などを柔軟に郵便料金に反映させたい意向のようです。
日本郵便は総務省所管の特殊会社ですので、自身の意向だけで簡単に値上げを決めることはできません。これをより簡単にできるよう、総務省における今回の有識者会議で要望を出したということのようです。
実はこうした柔軟な値上げを要望しているのは日本郵便だけではありません。9月25日に総務省にて開催された『情報通信審議会 郵政政策部会 郵便料金政策委員会』の第2回会合に関係団体として招かれた一般社団法人日本ダイレクトメール協会が、やはり今後の郵便料金の値上げについて柔軟化を要望しています。今回のように一気に値上げするのではなく、小刻みに料金を上げることでDM利用者も対応が可能になるという考えのようです。
情報通信審議会 郵政政策部会 郵便料金政策委員会(第2回)配布資料・議事
(総務省、2024/9/25)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/yubinryokin_seisakuiinkai/02ryutsu14_04000182.html
郵便事業にとってある程度まとまった量の郵便が期待できるDMは貴重ですし、またDM自身にまだ訴求力があるということであれば、当面の間は日本DM協会の存在感は大きく、その意向は無視できないと思われます。今回、日本郵便自身が小刻みな料金改正を可能にするよう要望したことで、その方向で改革が進められていくのではないでしょうか。
そうなった場合、以前より導入を主張している無額面切手の導入が、いよいよ本格的に検討されることになるでしょう。現在の日本切手は一定額の郵便料金を前払いする方式ですが、これが例えばはがき1枚分、定形郵便50g未満1通分の前払いということになれば、値上げされても差額の切手を貼らなくて良くなるわけですから値上げの負担感を減らすことが出来ますし、我々切手収集家にとっては切手の利用量が増えて使用済切手を入手しやすくなるかもしれません。そして…郵便料金がいくらなのか意識されなくなるという副産物が生まれるかもしれません。