アブダビは1970年7月10日に大阪万博(EXPO’70)の切手を発行しました。切手の左端に描かれているのは当時のアブダビ首長のザーイド・ビン=スルターン・アール=ナヒヤーンで、切手の印刷は日本の共同印刷が手掛けています。
アジュマーンやシャールジャと同じく、現在はアラブ首長国連邦(UAE)を構成するこの国が発行する切手がドバイとともに土侯国切手扱いされないのは、両国が穏健な切手発行施策をとったからです。両国では石油が出たので切手で外貨を稼ぐ必要がなかったからという説明がなされますが、1928年より在位していた当時のアブダビの首長シャフブートは抑制的だったこともあり豊富な資金をジャンジャン使えていたわけではありませんでした。堅実といえば堅実なのかもしれませんが、業を煮やした弟のザーイドによって1966年に宮廷クーデターを起こされています。
ちなみにアブダビは大阪万博に参加していますが、ドバイは参加せず、そのせいかドバイは大阪万博の切手を出していません。他の5カ国は万博に参加しませんでしたが切手だけは出したため、結果的に今のUAE構成国の中で大阪万博の切手を出さなかったのはドバイだけとなっています。