中華人民共和国は1960年代後半から1970年代前半にかけて文化大革命の嵐が吹き荒れましたが、上海郵政博物館ではその記述を見つけることができませんでした。文化大革命の時代、中国で切手収集が禁じられ、そもそも切手の発行枚数が少なく、ほとんどの国と国交を断っていたために外国への郵便も少なかったとされており、郵趣的には大変厳しい時代となりました。この時代に発行されたいわゆる『文革切手』は現在、入手が困難となっているのは改めて言うまでもありません。
1978年12月に中国共産党の第十一期中央委員会第三回全体会議が開催され、ここで改革開放の路線が決定的なものとなったとされています。1970年代の記述は、文化大革命はまるっと抜け落ち、この改革開放の推進による郵便事業の発展がメインとなっています。『党と国の政策の支援を受け』、上海郵政は郵便制度やメカニズムの改革を起こし、営業拠点と運営拠点を建設・拡大し、郵便輸送ネットワークの構築を強化し、技術革新を加速し、体外協力と交流を拡大し、都市と農村を網羅し、そして世界へとつながる近代的な郵便ネットワークを形成したのです。要する発展のすべてが国と党のおかげなのです。
そして、郵政サービスは建国直後の手紙や小包、送金、新聞・雑誌の取り扱いに加え、速達、郵便貯金、物流運輸へと徐々に拡大され、取扱商品も充実しました。
これは1965年に初めて導入されたコンピューターです。
これは小包を引き受ける際に使われた電子秤。
上海郵政は1940年代にはサザニー社による郵便料金計器を使っていましたが、1990年代にはアメリカのピツニーボウズ社による郵便料金計器が導入されました。
これらの機械はいずれも年季が入っており、おそらくは実際に業務で使われたものを展示しているのでしょう。しかし、考えてみれば文化大革命が続いた1966年から1976年までの期間中に導入された機械はありません。というわけで、この時期は本当に何も特筆できるような郵政事業の技術革新はなかったものと思われます。