上海市の郵政博物館訪問(その22-香港、マカオ、台湾)

1990年代、中国は香港をイギリスから、マカオをポルトガルから取り戻しました。そして今、台湾を手中に収めようとしています。上海市の郵政博物館では、中国郵政がいかにこれらの3地域との関係を深めてきたかをアピールするコーナーがありました。これら3地域を同一視することで、台湾もあくまで自国の領土であることをアピールする狙いがあると思われます。

ここでは、香港、マカオ、そして台湾は古来より中国の領土の不可分な一部であるとの位置づけです。中国郵政は国家の政策を誠実に実行し、香港とマカオの返還後は、香港郵政、マカオ郵電(郵政)と積極的に交流・協力し、郵便業務と人的交流の発展を促進してきたとしています。そして台湾については、2008年に中台は完全な直通双方向の郵便サービスを実現しました。その後は両岸(中国側の立場からすれば、『両国』とは呼べないのでこういう表現になります)郵便交流を強化し、ビジネス協力を推進し、台湾海峡両岸の統合と発展を促進し、台湾海峡両岸の同胞間の精神的調和と協力を促進することに積極的に貢献したと自画自賛しています。

まずは香港。一番左は雨の中、四川省の郵便局にて、香港復帰を記念する切手の発売をを何千人者収集家が待っている写真。その右は、発売された復帰記念切手に殺到する収集家。右の2枚は、香港返還に関する一連の報道を掲載した『上海郵政』です。その下には香港返還に関する切手が展示されています。

そしてマカオ。一番左は、マカオ返還まで残りカウントダウンが1日となったことを受け喚起する上海郵便局の局員。右の2枚は、マカオ返還に関する一連の報道を掲載した『上海郵政』です。その下にはマカオ返還に関する切手が展示されています。

最後に台湾。ここはまだ施政権が及んでいないためか写真パネルの数も香港やマカオより多いです。

  • 上段左:全国人民代表大会(全人代)常務委員会が発行した『台湾統一への書簡』(1979年元旦)
  • 上段中:台湾海峡両岸で初の直通航空小包サービス開始(2008年12月15日)
  • 上段右:郵便局内に設置された台湾同胞(大陸側の呼び方)向けのサービスデスク
  • 中段左:『翔英奨学金』に資金提供した台湾郵政の退職局員である盛天明氏と、受賞した学生60名。
  • 中段中:台湾海峡両岸間の郵便サービスが開始し、香港から中国本土に送られた手紙。
  • 中段右:郵電部が発行した、台湾からの観光客を歓迎するはがき。
  • 下段左:分断され行方不明となった台湾の親戚に手紙を配達する郵便局員。
  • 下段中:台湾からの郵便物を取り扱っている上海郵政の局員。

というわけで、香港、マカオ、そして台湾を同じコーナーで紹介することで、台湾もいずれは自国の施政下に置くという中国の意思が見え隠れしています。