福井和雄JPS理事長の『改元を表すのに相応しい郵趣品』とは

スタンプショウ2019は3日間の開催期間を終えました。今回のコラボ相手が当代人気の『おそ松さん』であったことに加え、令和への改元も重なってかなり多くの方々が訪れました。スタンプラリー用の台紙が付く公式ガイドブックが売り切れ、台紙だけを頒布し、それもまたなくなったという話なので、近年稀に見る混雑となりました。

私といえば、おそ松さんとのコラボと聞いた時点でこれは相当多くの方が来ることになるであろうと判断し、小型印など郵頼可能なのものはさっさと郵頼し、4Fの展示は初日にだいたい見させていただきました。2日目と3日目は両日とも15分も4Fにはいなかったと思います。ほぼ切手商ブースのある5Fに入り浸っていました。

3日目は東京地下鉄で発売された天皇陛下御即位記念乗車券を早朝から買いに行き、その後思いつきで東京中央郵便局で改元記念に押印をして、それからスタンプショウ会場に向かいました。この東京中央だって、結局は事前に郵頼できたと思うのですが、思いつきだからしょうがないんです。そもそも私は押印したものをメインのコレクション対象にしていません。未使用の切手だけだからね。今年に入ってから風景印や初日印などを求めに行くこともありますが、あれも半分は現場の雰囲気を見るための勉強のようなものです。

まあ言ってしまえば改元記念に個人的な記念品を作りに行ったわけです。おそらくは私がコレクションを手放すことになっても、誰も引き継いでくれそうにないものです。そんなことを考えながら、きょう2日に届けられた『郵趣』5月号の福井和雄JPS理事長の巻頭言『クローズアップ』を読んでいたところ、まさに改元の郵趣品について述べられていました。巻頭言だけならインターネット上から読めます

そこでは福井理事長が改元に伴う記念押印などについて「(改元は)30年余振りの大きな変化だから、それを郵趣品に残したいと思うのが収集家心理」「こうした“作る楽しみ”を否定するわけではない」と言いつつ「JPSオークションにも「平成」改元の郵趣品がしばしば出品されるが、ほとんど見向きもされない」と書かれていて、これはカチンと来る人もいるかもしれないなぁ~と思いつつ読んでいました。

別に理事長なりの実感を否定する気はないのですが、しかし私の考えでは、それらはあくまで気軽な記念品なのであって、作った本人が満足ならそれでいいのですよ(もちろん、中には切手展の展示に使えるものも多々あります)。だからオークションで売れないのはしょうがないんじゃないかと思うのです。理事長としてはJPSオークションで売れて手数料が入ってほしいんでしょうけどね。気軽な記念品に郵趣的な意味を見出すのは野暮というものです。これを読んだ人の大半は「福井さん、それ言っちゃおしまいよ」と苦笑いしたんじゃないでしょうか。

何より、今回のスタンプショウはそうした記念品作成を求める人達で大混雑となったわけです。私も野暮なことを言えば、記念品の売上等でJPSも少々は財政も潤ったはず。そもそも宮内庁内郵便局の風景印を押せるようにしている段階で、どうぞ記念品を作りに来てくださいと言っているようなものなのです。さらに言えば、記念品を作りに来た人たちを会員に勧誘しているのも、また事実。スタンプショウを主催する団体の理事長として、そのことを忘れちゃいけない。まさに「福井さん、それ言っちゃおしまいよ」。

福井理事長は巻頭言の最後に「改元を表す郵趣品は何が相応しいのか、もう一度考えることが必要かもしれない」と書いておられますが、しかし問いかけをするだけで、具体的なイメージは何も示しておられません。まあ、平成改元のときに「改元を表すのに相応しい郵趣品」が作られていない(ように見える)のなら、今回の改元のときも「相応しい」(ように見える)郵趣品を作るのは至難の業でしょう。私? 私はそんなもん考えませんよ。メインは未使用切手ですから。