香港最後の日

23年前の今日、1997年6月30日、英領としての香港最後の日、香港郵政は英領時代最後の切手を発行しました。ものの本によれば中国への返還直前の香港では切手ブームが巻き起こり、香港政庁も最後の一儲けとばかり(?)切手を大量に発行しています。これはその最後の最後、『香港クラシックシリーズ』第10集です。そこにはイギリス統治下の歴代の切手、香港の風景が描かれています。特に裏面には歴代のGeneral Post Office(香港郵政総局)の建物が描かれています。

そして公式初日カバーの封筒には、歴代の消印も描かれています。イギリスが香港にて郵便事業を始めたのが1841年。たった1枚の小型シート、FDCに、150年以上に及んだイギリス統治下における香港郵政の歴史が詰まっています。

いよいよ中国の全人代は香港に対する国家安全法を可決させ、あす7月1日からの施行と目されています。日本を含む西側諸国は、50年間は一国二制度を維持するという約束が破られたと見做すでしょう。既にアメリカは香港に対する優遇措置の一部停止を発表しており、また香港の民主派からは諦めの声が出ています。2022年3月、香港で国際切手展(世界展)が開催されます。その前月には北京で冬季五輪が開催されており、中国国内は愛国ムード一色で染まっているはずです。その時、もはや完全に中国の一部となった香港は、どのような雰囲気になっているのでしょう。ある意味で治安は強引に改善されているのでしょうが…。