アメリカ発の国際郵便から小切手

当ウェブログでは可能な限り郵趣に関するホットな話題を提供しようとしていますが、いまアメリカから日本に大量に届いている、ある郵便物についてご紹介しましょう。

アメリカのジョー・バイデン政権は今年3月、総額1.9兆ドル(約200兆円)にも及ぶ追加経済対策法を成立させ、その中には1人あたり最高1,400ドル(約15万円)の給付金支給も含まれています。新型コロナに関連する給付金はトランプ前政権でも行われましたが、今回の特徴は、年金受給者も対象になっているということです。

ところでアメリカの年金制度では最低1年6カ月加入していれば受給することが可能です。これはかつてアメリカに駐在した外国人も対象です。特に1980年代はアメリカに駐在する日本人が多く、あれから30年以上が経過した今、当時駐在していた方々の大半が年金受給の開始年齢に到達する時期になっており、実際に手続きを行って受給されている方も多いようです。その方々にも前述の小切手が4月下旬頃から続々と国際郵便で到着しているのです。その画像をご覧いただきましょう。

差出人はアメリカ合衆国財務省、1,400ドルの小切手が、追跡記録も何もない、普通の国際郵便で届いています。しかもこれ、郵便受けに普通に配達されているようで、郵便事故が起こったら大変じゃないかと思うのですが、アメリカ政府としてはとりあえず送るよ、相手国の郵便の信頼度までは面倒見ないよ、換金方法も各自で頑張って、ということなんでしょう。このへんは国民性の違いでしょう、日本ではありえない話です。

郵便物の話はここまで。先日来よりこの小切手が届き始めた結果、ツイッター上では現金化する方法をめぐってザワついています。なぜなら今現在、日本国内でアメリカの小切手を換金してくれる金融機関はSMBC信託銀行しかなく、しかも外貨を取り扱う口座(月間の維持手数料2,000円)を契約していないと換金してくれないからです。昨今の国際的なマネーロンダリングやテロ資金供与の対策に伴い外為法による規制が強化され、海外の小切手発行人の身元確認が厳しくなった結果、そんなリスクは負えないということで、3大メガバンクは2018~2019年に次々と取り扱いを停止してしまいました。メガバンクに手に負えないような代物を他の銀行が扱えるわけもなく、今のような状況になってしまいました。

しかし今回の小切手発行人はアメリカ合衆国財務省であり、しかも小切手は受取人が違うだけでほぼすべて同じなので、発行人の身元確認はほぼ不要と言っても良い状況です。そこで昨日あたりから三井住友銀行などはこの小切手に限って受付を行うサービスを開始したようです(あらかじめ預金口座を持っているなどの条件あり)。まあ手数料取れるからね、こういうのは早いもの勝ちです。