著名人の切手コレクションが切手展にて展示されることがあります。郵趣的価値があるかどうかとは別問題です。国際展でゴールドまで行った作品と、歴史上の人物による切手コレクション、どちらが見たいかという問いは時と場合、それから立場によって答えが大きく違ってくるとは思います。ですが普段から切手を集めているわけでもない一般人の大半は後者のほうが見たいと答えるかもしれません。切手そのものの価値は見当がつかなくても、これは○○さんが集めた切手だという情報そのものが大きいですから。まあ著名人のコレクションなんて毎回見られるわけではないので、郵趣家でも興味本位で見てみたいという人はいると思います。
こうした企画は一般客を呼び込むツールとしても使われるようです。2016年に米ニューヨークで開催された国際切手展ではジョン・レノンが少年時代に集めた切手が展示されました。また先日、横浜で開催されたアジア展では高円宮家の憲仁親王妃久子殿下のコレクションが展示されていましたね。イギリスから送られてきた初日カバーも含まれていましたが、旧名であるHisako Tottori(鳥取久子)宛てであったり、HIH Princess Hisako宛てであったりとか、もう格好良すぎでしたね、あれは。ちなみに久子さまは今回の切手展の名誉総裁です。ご皇室の方が切手収集をされているというのが嬉しいですね。
さて先日、またまた切手コレクションをお持ちの著名人の存在を知りました(ご存じの方はご存知なのでしょうけど)。現在、アメリカ合衆国で財務長官を務めているジャネット・イエレン。米連邦準備制度理事会(FRB)当局者には保持する金融資産に関して倫理規定が適応されており、イエレン氏はFRB副議長時代に1万5000~5万ドル相当の切手コレクションを含む資産内訳を公開しています。
次期FRB議長候補の2人、資産はともに数百万ドル規模
(ロイター通信、2013/8/29)
https://jp.reuters.com/article/l4n0gt2be-usa-fed-wealth-idJPTJE97R01T20130828
パウエル議長、FRB当局者の金融資産巡る倫理規定の見直し指示
(ロイター通信、2021/9/17)
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-ethics-idJPL4N2QI38Z
一般向けには切手即売会や切手展などで『総額○○億円分の切手が勢揃い!』といった宣伝文句が使われることがあります。一般向けのインパクトを狙った表現なのでしょうが、実際問題この1万5000~5万ドルという値段からイエレン・コレクションの中身を推測することは不可能です。お金は金額でもって異なるモノ同士の価値比較の仲立ちをしますが、そのかわり元のモノの詳細な情報は失われますので。切手コレクションはその方の内部を如実に語るので、ちょいと中身を見てみたい気がします。
もっとも、著名人による切手コレクションの中で郵趣家が一番見たいのは、英ジョージ5世のものでしょうか。現国王のエリザベス2世も、切手収集をされていると聞きます。