昨年(2021年)12月21日、日本国際切手展2021の公式サイトが閉鎖されていることに気が付きました。調べてみると、12月にサイト制作会社と思しき法人が公式サイトの独自ドメイン”japan2021.jp”を手放していたんですね。まあそういう契約だったんでしょうけど、終わってからまだ3カ月しか経ってないのにマジかい?
これがいかに深刻な問題か、おわかりになる方はわかると思います。それまで散々、日本郵政のプレスリリースや各種媒体にて紹介されてきた公式サイトのアドレス、ツイッターなどに投稿された公式サイトのアドレスが、全て無効になってしまったのです。これで同イベントが開催されたという、ネット上の最大の痕跡が綺麗さっぱり消えてしまいました。
それ以上に深刻な問題は、独自ドメイン”japan2021.jp”を何者かが取得し、例えば反社会的なウェブサイトに誘導するよう設定されてしまった場合、とんでもない事態を引き起こすということになるということです。仮にも日本国際切手展2021の公式サイトと紹介されたアドレスを踏んだ方が犯罪に巻き込まれてしまったら、郵趣界のイメージが低下しかねません。というわけで実はドメインが再取得可能となる2月1日に私も狙っていたのですが別の法人に取られてしまいました。今のところ用途は不明です。
独自ドメインの廃止は慎重に慎重を期す必要があるという問題提起は以前よりなされてきました。例えばJPドメインを管理する株式会社日本レジストリサービスによる資料に詳しくまとめられています。
ドメイン名の廃止にあたっての注意(PDFファイル)
https://www.antiphishing.jp/news/techwg_openday2020_online_JPRS.pdf
上記の資料でも言及されていますが、ドメイン名は使い捨て感覚で登録・廃止するものではないのです。ドメイン名の管理はすなわちブランドの管理であるという意識が必要です。しかし今回の日本国際切手展2021公式サイトのドメイン廃止にはそういうった観点が抜け落ちていると指摘せざるを得ません。イベントは短期間なのだから公式サイトも短期間でよい、というわけでは断じてありません。
実は日本国際切手展のやらかしは今回が最初ではなく、2011年国際切手展の公式サイトも独自ドメインを取得し、閉会後に手放してしまいました。詳細はあえて書きませんが、現在は別の法人が取得し、また別のウェブサイトが構築されていますが、なぜか日本切手や会場のパシフィコ横浜の写真とともに『日本国際切手展2011は終了致しております』と書かれているだけの親切な(?)サイトになっており、幸いにも悪用はされていないようです。しかしながら、このドメインは2021年を強力に連想させる”japan2021.jp”より更に汎用的なドメイン名となっており、これを手放したのは非常にもったいないと思います。はっきり言って数十万円の価値はあると思います。汎用JPドメインなんて年間数千円で維持できるんだからさあ、もうちょっとそういうとこ敏感になろうよ。
(補足)25年ほど前にインターネットを利用し始めた際には神崎正英氏によるウェブサイト”The Web KANZAKI”で勉強をさせていただきました。そういう同世代の方は少なくないでしょう。その中から、ウェブ作成者が肝に銘じるべき以下のページをご紹介します。
クールなURIは変わらない
https://www.kanzaki.com/docs/Style/URI