9日は記念切手記念日なんだそうです。1894年3月9日に日本最初の記念切手が発行されたことにちなんでいるわけですが、記念切手については私も色々と思うところがあります。
というのも、この『記念切手』という言葉が世間ではあまりに多用されすぎていると思うからです。収集家が記念切手とは区別するグリーティング切手も、ふるさと切手も、フレーム切手も、みんな『記念切手』と呼ばれている感があります。一方、普通切手と、かろうじて年賀切手に関しては別の存在と認識されているようです。なのでそれ以外の切手は全部『記念切手』なのです。世間的には。
これはおそらく『記念切手』という言葉の認知度の高さも要因にあるのです。切手収集家以外の方にとって『特殊切手』という言葉は知らなくても、『記念切手』という言葉を知っているという向きは多いのではないでしょうか。これは、記念切手の発行割合が今より多かった半世紀前の切手ブーム時代に定着し、そのイメージを未だに引きずっているのが原因と思われます。しかし今や記念切手の全体に占める比率は大きく減少し、2021年度は2020年東京オリンピック・パラリンピック、近代通貨制度150周年、日本国際切手展2021、日本ウルグアイ外交関係樹立100周年、海洋研究開発機構創立50周年くらいで、あとの大半の特殊切手はグリーティング切手やシリーズものです。
ネットニュースで記念切手という言葉を使っている記事をよく読むと、その内実はフレーム切手のことだったりします。それを見るたびに、これはフレーム切手であって記念切手ではないなと内心思っているわけですが、こうした記事によって『記念切手』という言葉の解釈はますます拡大していっているのでしょう。しかしフレーム切手の写真部分は切手として有効ではなく、所詮フレーム切手はフレームでしかないのです。通常の切手を指す、フレーム切手との対語になるような単語が定まっていないのも問題といえば問題なんですよね。正刷切手という呼び方をしている郵趣家もおられますが(私もたまに使いますが)、なかなか世の中に浸透しません。
しかし一方で、考えてみればフレーム切手も「○○を記念して作られたフレーム切手」であれば、「○○を記念した切手」であることには違いありません。日本郵便はといえば、サイト上で記念切手という言葉は使っていません。いずれにせよ売れれば、記念切手とフレーム切手の区別などどうでもいいのでしょう。そうした戦略を一概に否定はしませんが、しかし両者の区別がつかない一般客が特殊切手の感覚でフレーム切手を買いに来て(その逆もしかり)、現場の窓口の局員さんが対応を強いられるというケースもあるのではないでしょうか。
私もいちいち指摘はしないようにしていますが、しかし収集家としては記念切手とそうでない切手の区別はしっかりとしたいところです。なにも日本に限った話ではなく、海外でもPスタンプが大量に存在しているからです。ただでさえ集めるのが大変なのに、ここをしっかり区別しないと収集のキリがありませんし、郵政の思うツボです。気に入ったものを買うのは全然問題ないですけどね。私もたまに買ってますし。