ウクライナ戦争開戦から半年が経過し、郵便も大きな影響を受けました。今回はそんな事例を一つ、ご紹介します。
これはウクライナが2013年7月28日に発行したキエフ大公国のキリスト教化1025周年記念の切手です。ロシア、ベラルーシと共同で発行されたものですが、2022年ウクライナ戦争開戦後にウクライナ郵政がこの切手を撤回しました。正確には2002年以降の世界中の新切手に通し番号を付けているWADPナンバリングシステムからこの切手を取り下げると発表した、ということを以前にご紹介しました。とはいえ、この措置による実際の影響はいまいち不明です。
そもそもWADPナンバリングシステムは、実在の国家を騙った偽物の切手(illegal stamps、違法切手)が横行していることから万国郵便連合(UPU)と世界郵趣発展協会(WADP)が共同で行っているプロジェクトです。登録されていない切手は偽物だから切手商などで売られていても買ってはいけませんよということです。ここに切手を登録できるのは各国郵政部のみです。正規の切手は全てここに登録することになるので、それを取り下げるということはウクライナ郵政はこの切手を正規の切手と認めないということを意味します。しかし、この切手が使用不能になるといった発表はないように思います。
Укрпошта звернулася до Всесвітнього поштового союзу та країн-членів з проханням запровадити санкції проти росії у сфері філателії
(ウクライナ郵政、2022/3/18)
https://www.ukrposhta.ua/ua/news/57589-ukrposhta-zvernulasja-do-vsesvitnogo-poshtovogo-sojuzu-ta-krain-chleniv-z-prohannjam-zaprovaditi-sankcii-proti-rosii-u-sferi-filatelii
Ukraine asks UPU for philatelic sanctions on Russia
(Linn’s Stamp News、2022/3/24)
https://www.linns.com/news/us-stamps-postal-history/ukraine-asks-upu-for-philatelic-sanctions-on-russia