人類の歴史から戦争が消えたことはないと言いますが、しかしいくらなんでも次から次へと戦争が起こりすぎじゃないでしょうか。今年(2023年)だけでも相変わらずアフリカ諸国ではクーデターが次々に勃発し、アゼルバイジャンは9月にアルツァフ(ナゴルノ・カラバフ)に攻め入って事実上解体させ、そして10月7日にはパレスチナ過激派のハマースがガザ地区からイスラエルに対してミサイル攻撃を行っただけでなく戦闘員をイスラエル領内に送り込みテロ行為をはたらき、イスラエルはハマースに対し宣戦布告を行いました。
というわけで今回は風前の灯となっているアルツァフの切手です。今年(2023年)5月25日に発行されたヨーロッパ切手(旧・CEPT切手)です。ただしアルツァフはPostEurop(欧州郵便事業者団体)には加盟していないため、勝手に発行しているだけです。向かって左が共通図案、右が独自の図案です。アルツァフの国旗と子どもたちが描かれています。
アルツァフは人口12万のうち既に10万人がアルメニアに出国し、残っている人も年内には脱出するものと思われます。要はもうアルツァフは国としてスッカスカで、郵便を出す人はいないでしょうし、郵便ネットワークを維持できているとも思えません。従って今回のヨーロッパ切手を最後に新切手の発行はないだろうと思っていたのですが、X(ツイッター)で教えていただいたリスト(下掲)などを参照すると戦争前の8月14日と戦争敗北直後の9月23日にも発行しているようなのです。この2件は戦争には関係なく、事前の予定通り発行したとういことなのでしょうが、使用例はほぼ残らないでしょう。何しろ万国郵便連合(UPU)には認知されていないので国際郵便には使えず国内郵便限定の切手ですから。
2023 – Artsakh (Karabakh) Stamps Արցախի նամականիշեր
https://armenianstamps.org/Armenian-Stamps/6193
そうこうしているうちに10月7日にアフガニスタン西部でマグニチュード6.3の地震が2回発生し、8日の時点で死者、負傷者ともに2,000人を超えたと報じられています。本来ならばこういうところに世界の注目が集まって救援のための人やモノ、カネを振り分けるべきなのでしょうが、ただでさえアフガニスタンそのものが今はターリバーン暫定政権の統治下で救援に支障が出そうなのに、中東情勢が今後悪化するとアフガンの優先順位はさらに下がりそうです。いずれにせよ犠牲になるのはいつも一般市民です。