台湾の台北市にある郵政博物館の3階は常設展示で、郵政の歴史を見ることができます。もちろん具体的には中華郵政(台湾郵政)の歴史なのですが、その起源は清朝の大清郵政にまで遡ります。
これは光緒32年(1906年)にお目見えした大清郵政の郵便ポストです。
以降、様々な時代の郵便ポストなどが展示されていますが、一日中歩き回っていい加減に疲れてきた私の目に留まったものをご紹介しますと…
これは大日本帝国の統治が終了した1945年に台湾にて登場した木製の郵便ポストです。
こんな6角形の置物のようなものを発見しましたが、これは『自助郵亭』(=セルフサービス郵便局)と呼ばれる無人の切手販売スタンドで、中には切手やはがき、お釣りが置いてあります。買う人は切手やはがきを取り出してお金を払い、必要に応じてお釣りを自分で取り出すという、完全に買う人の良心に依存しているシステムで、『良心郵便局』とも呼ばれました。台のところにある穴に郵便物を投函することもでき、郵便局員は毎日、切手の補充と郵便物の回収を行っていたそうです。
日本でいうところの無人野菜販売所とシステムが似ていますが、これを一国の郵政部がやってしまうのがすごいですね。とはいえ、設置されたのは3箇所だけ。国立台湾大学や師範学院、女子師範学校といったアカデミックな場所なので、それなりに利用者の良心が期待できるからこそ設置できたということでしょう。設置されたのは1952年から1967年までの15年間で、各大学には郵便局や切手販売所が設置されていき、自助郵亭は廃止されました。
ちなみに解説用QRコードが貼り付けられていますが、既にアドレスが無効になっています。
このエリアは他にも興味深い展示物があるのですが、私が最も長い時間をかけて見たモノは次号。