ブータンとインドの特別な関係

12月17日はブータンの建国記念日です。1907年12月17日にウゲン・ワンチュクが初代国王に即位したことから、この日が定められたそうです。

ところでブータンといえば最近、中国との係争地を徐々に奪われつつあるとの記事がありました。

中国が「隣国の国内」に居住区を建設、写真で明らかに…領土拡大の「既成事実化」に呑まれる小国ブータン
(ニューズウィーク、2023/12/15)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/12/post-103241.php

ブータンも領有権を主張する係争地に中国が入植地の建設をどんどん進め、領有権の既成事実をどんどん積み上げているが、ブータンとしてはなすすべがないという記事です。どこかで聞いたことがある話ですね、これ。もちろんブータン一国だけでは中国に対抗できるわけがないのでインド軍事顧問団が駐留しているなどブータンとインドは特別な関係にありますが、今回の件はインドもそう深入りはせず、最終的にブータンは譲歩を強いられるとの予測が立てられています。

さて、これは1997年12月15日にブータンが発行したインドとの友好関係をアピールする切手で、ジグミ・シンゲ・ワンチュク国王(現在のジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王の父親)が、インド大統領ラーマスワーミ・ヴェンカタラマンと1988年に会談したときの様子が描かれています(肩書はいずれも当時)。

大国との関係を整える(決して従属するということではなく)のは非常に面倒かつ神経質な仕事ですが、これをうまくやらないと国家の存亡に関わりかねないので難しいところです。ブータンだけでなく、ウクライナや台湾もそうです。まあ日本もそうなんでしょう、中国とは軍備拡張競争を続けつつ基本的にはアメリカの側に立ってきました。すべては自国の存続と平和のためです。