上海の郵政博物館が改修を終え、再公開の初日に参観をすることができました。あらかじめ断っておくと、博物館の常として室内は照明が控えめなので、撮影した写真も暗めです。さすがにフラッシュをたいて撮影するわけにもいきません。
ここで見ることができるのは上海や、中国全体における郵便の歴史です。しかし、歴史の順を追って紹介しているわけではありません。まずは今日の上海における郵便がいかに素晴らしいかという宣伝から始まります。そもそも前日まで展示物を改修していたのは『政治、人物、現代性をさらに反映』させるためです。要するにこれまでの郵便制度を、現在の中国共産党の視点から捉え直して展示するというわけですね。それはこの序文を読んだだけでもわかります。これは中国語だけでなく英語も書かれていますが、ということは内外に宣伝したい内容だということです。特にこの三段落目以降を読むとそのことが顕著にわかります。
今日の上海郵便局は、中国共産党中央委員会と中国郵政の戦略的取り決めを継続的に実施しつつ、都市部と農村部の両方をカバーする近代的郵便事業に成長し、中国本土と香港、澳門、台湾およびその他の地域を結んだ。上海の特徴を活かした真新しい世界観を表現する。
黄浦江は海とつながっているが、我々の郵便ルートはシルクロードと並行しており、科学技術が急速に進歩するこの新時代において、上海郵便局は確実に製品の供給と影響力を拡大している。世界を舞台に『世界中の人と幸せをつなぐ』。
上海における郵便制度の発展を自賛しているのはともかく、この文章には中国政府の主張する『一つの中国』や、『一帯一路』にもつながる思想が背景に見え隠れします。まずは政府のおかげで中国郵政がいかに素晴らしいものになったかという肯定から始まるのです。これが一番最初にある展示物ですが、ここの説明文は中国語しかないので再びGoogle翻訳に頼りましょう(一部読みやすいように改変)。
党づくりを強化して方向性を導く
中国郵政は運営が独立して以来、常に党の指導と党建設を堅持しており、特に中国共産党第18回全国代表大会(注:2012年開催の党大会)以来、新時代の中国の特色ある社会主義に関する習近平の思想を深く研究し、実践してきた。『二つの確立』の決定的意義を深く理解し、『四つの意識』を強化し、『四つの自信』を強化し、『二つの擁護』を達成し、党中央委員会との高度な一貫性を意識的に維持した。習近平同志はイデオロギー、政治、行動の核心である。新時代の党建設の一般的要求を深く実践し、改革発展のあらゆる側面と全過程に党建設を統合・浸透させ、質の高い党建設で企業の質の高い発展を導く(注:『』内の言葉はいずれも習近平による政治用語。詳細は割愛)。
中国の特色ある社会主義思想教育
ねえ、冒頭からこれですもの、ワクワクしちゃうでしょ? 東京や台北とは全く違う郵政博物館がここにあります。というわけで次回以降も引き続きご紹介していきます。