トランプ2.0時代の郵便公社改革(その1-民営化か商務省統合か)

第2次ドナルド・トランプ政権ではアメリカ合衆国郵便公社(USPS)の改革が検討されています。トランプ大統領はこれまでにいくつかの改革案に言及しており、増え続ける赤字をなんとかしたいと考えているのは間違いありません。トランプ2.0で世界最大級の郵政事業はどこへ向かうのでしょうか。これまでの動きを数回に分けてまとめたいと思います。

郵便事業は第1次政権時よりトランプに色々と目をつけられてきました。中国からの国際郵便物の料金が安すぎてUSPS側の取り分が少ないとして、料金設定のルール変更を求めて万国郵便連合(UPU)からの脱退をほのめかしたり、2020年大統領選挙では郵便投票で不正が行われていると主張したりと、次から次へと手を突っ込んできました。

2024年12月7日、就任1カ月半前のトランプ氏はUSPSが郵便配達車両を発注している米自動車・防衛関連企業のオシュコシュ・ディフェンスとの契約を解除することを検討していることをロイターが独自情報として報じました。電気自動車(EV)の普及策を廃止したいトランプ氏が、バイデン政権下で決まったオシュコシュ社によるEV配達車の提供を止めさせたい意向があったと見られています。

その1週間後にはワシントン・ポストが、トランプ氏がUSPSの民営化、あるいは商務省の傘下に置く改革を検討していると報じています。その直後にはトランプ氏自身がUSPSの民営化について「聞いた中で最も悪いアイディアではない」と会見で表明しています。トランプ氏としてはもうUSPSに対して補助金を出したくないのが本音のようです。

もちろんUSPSも手をこまねいているわけではなく合理化や改革を進めてはいるのですが、郵便量の減少はいかんともし難く、また小包輸送事業が予想以上に低迷していました。結果、累計の赤字額は800億ドルを超えてしまいました。

大統領再登板後の2025年2月21日には、トランプ氏は記者会見にてUSPSを『とてつもない敗北者』(tremendous loser)と呼び、商務省への統合を検討していると表明しました。しかし、その後もUSPSは民営化の可能性も含めて改革の可能性が議論されていくことになります。

<参考リンク>

Exclusive: Trump may cancel US Postal Service electric mail truck contract, sources say
(ロイター、2024/12/7)
https://www.reuters.com/business/autos-transportation/trump-may-cancel-us-postal-service-electric-mail-truck-contract-sources-say-2024-12-06/

Trump eyes privatizing U.S. Postal Service, citing financial losses
(ワシントン・ポスト、2024/12/14)
https://www.washingtonpost.com/business/2024/12/14/trump-usps-privatize-plan/

Trump considers privatizing US Postal Service, Washington Post reports
(ロイター、2024/12/14)
https://www.reuters.com/world/us/trump-considers-privatizing-us-postal-service-washington-post-reports-2024-12-14/

Trump says he is considering merging US Postal Service with Commerce Department
(ロイター、2025/2/22)
https://www.reuters.com/world/us/trump-says-he-is-considering-merging-us-postal-service-with-commerce-department-2025-02-21/