2024年末より、第2次トランプ政権でアメリカ合衆国郵便公社(USPS)が民営化、あるいは商務省の傘下に組み込まれる可能性が指摘されるようになると、これに反対する意見も出てきます。その反対意見は大まかに言って、次のようにまとめられるでしょう。
- 国民への基本サービスである郵便を民営化すべきでなく、公共性を維持すべき。
- 民営化で収益性の低い地方や低所得層は切り捨てられ、サービス格差が生じる可能性がある。
- 職員の待遇が悪化したり、人員が削減されるなど、労働環境が悪化する可能性がある。
- 2022年郵政改革法(Postal Service Reform Act)により財政状況に改善の兆しがあり、急ぐ必要はない。
- 民営化することで議会や市民がコントロールできなくなり、責任の所在が曖昧になる。
特に1~3に関しては、日本で郵政民営化が議論されていた際にも同じような懸念が指摘されていましたね。
2025年1月28日に、トランプ郵政改革に反対する決議案(H.Res.70)が下院議会に提出されました。これはUSPSが連邦政府における独立した組織であり続け、民営化する対象ではないことを議会が保証するため、議会は必要なすべての適切な措置を講じるべきであるとする意思を表明するもので、民主党のステファン・リンチ(Stephen F. Lynch)、共和党のニック・ラロータ(Nick J. LaLota)の両議員を主要提案者とする超党派の決議案です。この決議案には3月末の時点で180人の共同提案を集めています。
また上院でも同様の趣旨の決議案(S.Res.147)が3月27日に提出されています。民主党のゲイリー・ピーターズ(Gary C. Peters)ら超党派の議員が主導しています。これらの決議案は、2025年6月現在審議中です。
<参考リンク>
H.Res.70
(米国議会図書館 立法情報提供システム)
https://www.congress.gov/bill/119th-congress/house-resolution/70
S.Res.147
(米国議会図書館 立法情報提供システム)
https://www.congress.gov/bill/119th-congress/senate-resolution/147
Senate Introduces Resolution to Oppose USPS Privatization
(アメリカ郵便労働者組合、2025/3/31)
https://apwu.org/news/senate-introduces-resolution-oppose-usps-privatization