アメリカ合衆国のトランプ大統領は現在、郵便公社(USPS)を民営化もしくは商務省へ統合させるという郵政改革を大統領令によって実現させようとしていますが、前回はこれに反対する動きが連邦議会にて超党派で広まっていることをご紹介しました。それでは逆に、改革に賛成する動きはないのでしょうか。結論から言うと、一部業務を民営化するべきと考える議員はいますが、トランプ流の郵政改革を全面的に支持する議員は今のところあまりいないようです。
例えば現在、下院監視・政府改革委員会にて委員長を務めている共和党のジェームズ・コーマー (James Comer)下院議員は、2024年11月10日に開催された公聴会において、USPSは郵便処理業務を民営化するよう提案しています。しかし、USPSを全面的に民営化したり、政府機関に統合することを支持しているわけではありません。ましてや、今回のトランプ郵政改革に対する賛否を表明しているわけでもありません。時期的にそれはありえませんし、あくまでも一般論です。
このほか、共和党内に設けられた『DOGEクオーカス』(The DOGE Caucus、DOGE議員連盟?)で共同議長を務めているピート・セッションズ (Pete Sessions)下院議員は、2024年12月10日に開催された下院監視・政府改革委員会の公聴会に出席し、トランプ次期政権で新設される政府効率化省(DOGE)を引き合いに出しながら、USPSはさらに費用対効果の高い方法で運営する必要があると主張しています。2025年3月15日にニュース配信サイトNewsmaxに出演した際にも完全民営化など踏み込んだ支持はしておらず、ひとまずUSPSとDOGEが2025年3月中旬に合意した方針(その中には民営化などは含まれていない)に沿って改革を進めていくべきとしています。
というわけで、今のところ積極的にトランプ郵政改革を支持している議員はあまりおらず、それより反対する議員が超党派で存在している時点で、やはり議会の同意を得ることは難しそうです。それでも大統領令の一点突破で民営化もしくは商務省統合を試みるのか、まあそこもトランプ大統領の関心の高さ次第という気がしないでもないですが。
<参考リンク>
DOGE-supporting lawmakers call on USPS to privatize some operations, scrap electric fleet
(Federal News Network、2024/12/10)
https://federalnewsnetwork.com/agency-oversight/2024/12/doge-supporting-lawmakers-call-on-usps-to-privatize-some-operations-rein-in-electric-fleet/
Trump revisits plan to privatize USPS, a first-term goal that didn’t go far
(Federal News Network、2024/12/16)
https://federalnewsnetwork.com/agency-oversight/2024/12/trump-revisits-plan-to-privatize-usps-a-first-term-plan-that-didnt-go-far/
Hearing Wrap Up: USPS Must Achieve Financial Self-Sufficiency and Improve Service for All Americans
(アメリカ合衆国下院監視・政府改革委員会、2024/12/10)
https://oversight.house.gov/release/hearing-wrap-up-usps-must-achieve-financial-self-sufficiency-and-improve-service-for-all-americans/
DeJoy Lets DOGE Into the Postal Service—But Makes Them Leave the Chainsaw Outside
(TIME、2025/3/14)
https://time.com/7267999/usps-doge-musk/
Rep. Sessions to Newsmax: US Needs Better, Efficient Postal Service
(Newsmax、2025/3/15)
https://www.newsmax.com/newsmax-tv/pete-sessions-postal-service-doge/2025/03/15/id/1202988/