トランプ2.0時代の郵便公社改革(その6-盛り上がらない世論)

アメリカ合衆国のトランプ大統領が現在検討している、郵便公社(USPS)を民営化もしくは商務省へ統合させる改革については議会もUSPSの労組も反対する意向が多数のようです。では一番肝心の世論はどうなのかというと、これもまた反対する人が多いという世論調査の結果が出ています。

APWU(アメリカ郵便労働組合)がハート・リサーチとノース・スター・リサーチに依頼して今年4月下旬に共同で行われた世論調査によると、郵政民営化に対する賛否は全体的に反対が多数です。賛成が26%にとどまるのに対し、反対は60%とダブルスコアをつけており、これが強い意見に限定すると、強い賛成が8%にとどまるのに対し、強い反対は40%となっています。

それだけでなく、地域別、発展別、年齢別、党派別、どの切り口で見ても基本的には反対派が多数となっています。唯一の例外は共和党支持者で、こちらは賛成が反対を上回っているのですが、しかし共和党支持ではあるがトランプ支持ではない人(非MAGA=共和党支持の約3分の1)に限ると、やはり反対のほうが多いのです。つまり、熱心なトランプ支持者が郵政民営化の賛成を押し上げていると言えます。

※上記画像は結果PDFファイル:https://d1ocufyfjsc14h.cloudfront.net/sites/default/files/me-14968_postal_privatization.pdf からグラフ部分を抜き出し、わかりやすいように着色したもの。

このほか、国民のUSPSに対する信頼度は基本的に高く、仕事ぶりも評価されています。この世論調査では、民営化するより、各サービスを拡充して財務強化につなげるべきとの結果も出ており(文房具販売に77%、狩猟や釣りの免許発行に72%、、雑誌販売に60%が賛成)、APWUのマーク・ディモンシュタイン (Mark Dimondstein)委員長も、その方向で民営化には反対の意向を表明しています。

<参考リンク>

Americans Overwhelmingly Oppose Privatizing the U.S. Postal Service, Finds New Survey from Democratic and Republican Polling firms
(APWU、2025/5/8)
https://apwu.org/press-release/americans-overwhelmingly-oppose-privatizing-us-postal-service-finds-new-survey