尖閣諸島の領有権を中国に認める切手

6月23日は沖縄県の慰霊の日です。昭和20年のこの日、沖縄戦における日本軍の組織的抵抗が終結したとされています。

さて慰霊の日を前にした22日、沖縄県石垣市議会は尖閣諸島の住所の字名を『登野城』(とのしろ)から『登野城尖閣』(とのしろせんかく)に変更する議案を賛成多数で可決しました。これは10月1日より効力が生じます。表向きの理由は行政手続きの事務的なミスを防ぐためということですが、まあ日本としては自国の領土なので属する自治体が粛々と変更する、それだけの話です。

この尖閣諸島、中国や台湾も領有権を主張しています。これに関連する切手としてたびたび取り上げられるのが、2012年にギニアビサウ名義で発行されたこの切手です。尖閣諸島という名称こそありませんが、明らかに尖閣諸島が描かれており、その背後には中国国旗が描かれています。

まあ、しょせんは切手代理発行エージェントが中国人収集家向けに作ったお金儲け目当ての切手ではあります。しかし、だからといって日本政府が放置して良いものではないと思います。何しろ切手としては建前上は合法なのですから(実際に郵便に使う人はほぼいないでしょうが)。しかし未だに日本政府がギニアビサウに抗議したという話は寡聞にして聞いたことがありません。正直、ギニアビサウという国のチョイスもうまい。なぜなら日本はギニアビサウに大使館を設置していないからです(在セネガル大使館が業務を兼任)。

これに対し、昨年にはタンザニア名義で竹島を韓国の領土と認める記念硬貨が発行されたと報じられた際には、日本政府はタンザニア政府に確認を行い、かかる硬貨は発行していないということを確認しています。この対応の差は何なのか?騒ぎ立てるやり方の差でしょうか。もっとも、この硬貨の場合はタンザニア政府が契約した代理エージェントが作った合法的な硬貨なのか、第三者がでっちあげた違法硬貨なのか、それすらよくわからないのですが。

ということで、これは①中国人ってやっぱりお金持ってるのね②切手代理発行エージェントってお金の匂いに敏感なのね③日本政府の外交姿勢って弱腰なのね、という文脈で使われることの多い切手です。