カルトール前島1円切手の印刷変種狂騒曲

1円切手が世間で話題になっています。4月14日にぽすくまの1円切手が発行されることになったからですが、もう一方の前島密1円切手についても昨年(2020年)10月頃より郵趣の世界では話題になっています。3種類の印刷変種が郵趣ウィークリー誌上で紹介されたのが昨年(2020年)48号でした。最初にこの変種の存在をネット上で知った時は「また派手にやらかしたもんだなぁ」というのが個人的な印象で、探してみようかという気にもなったのですが、まあそこまでの情熱もなかったのでしばらく放っておいたのです。

そうしたら先週木曜に配信された本年4号において別の変種が大量に紹介されたのです。その数、17種類。ここに至って、ちょ、ちょっと待てい! という思いに変わってきています。

切手そのものの収集を楽しむための着目点として、ミクロな視点とマクロな視点の両方があります。ミクロな視点は、定常変種や目打の数、色の違い、それこそ今回のような変種など細かい点を区別、分類していくというものです。マクロな視点は、その切手が発行された背景や社会的影響などを分析するというものです。切手収集の楽しみ方は十人十色で、例えばミクロ:マクロが五分五分の方もいれば、9対1の方もいると思いますが、やはりミクロな視点に比重をおいて研究をされる方が多いのではないかなと思っています。

私の場合はマクロな視点から切手を見ることが多く、それはこのウェブログを愛読していただいている諸氏(いるのかな?)にはご納得していただけるかと思います。このウェブログには既に1,100を超える記事がありますが、例えば定常変種という言葉が出てきたのはたったの1回で、しかもそれは昨年のJAPEXの寄附謝礼シートに、第1次新昭和切手の1円切手『北斎「山下白雨」の富士』の定常変種が描かれているというもので、定常変種の切手そのものをご紹介したわけではありません。

私がミクロな視点からの研究をほぼ行っていないのは、それが性に合っていないからというのと、私自身の目の問題で、近視だけならともかく乱視も入っており(これが厳しい)、さらに幼少期から飛蚊症気味なので、自分の目の見え方にはあまり自信がなく、目を酷使したくないという心理があることがあります。そんなこんなで、私は昔からミクロよりもマクロな視点から切手を見ることが多いのです。そっちのほうが性に合ってるんですね。

閑話休題。そんな私ですら最初は前島1円変種には興味を持っていたのですが、しかし続々と変種が見つかるに至り、これはそういうものだと解釈するのが正しいのではないか? と思うようになったのです。郵趣ウィークリーは昨年48号にて3種の変種を報告した結果、続々と編集部に報告される変種について、紙面を1ページ割いて取り上げることとなりました。もちろん報告する行為に否定的なわけではありません。おかげで、現在のカルトール社によるオフセット印刷の普通切手に対する付き合い方がよくわかりました。細けぇ変種は大目に見とけ、です。郵趣ウィークリーも今後、延々とこれを特集し続ける気はないのではないでしょうか。

ところで先日、前島1円切手を3シート購入したところ、すべての32番切手の右上余白部分に茶色い点があるのを発見しました。これはまだ郵趣ウィークリーでは報告されていないはずです。が、こういうこともあるよね、というのが正しい解釈でしょう。もちろんこのウェブログ以外に報告する気はありません。その切手シートはどうするのかって? 今後末永く自分の手元においておく所存です。当たり前でしょう、カルトール前島(マンションの名前みたいだなこれ)1円切手を物語る印刷変種なんですから。うん、これでよし!