ついに新たなる1円切手登場へ

本年4月14日、いよいよグリーティング(シンプル)切手に1円切手が登場します。その意匠に選ばれたのはぽすくまです。

これまで1円切手といえば普通切手はここ74年間、日本の近代郵便制度の父・前島密が鎮座してきました。今日、第2次新昭和切手と分類されている1947年発行の普通切手を皮切りに、マイナーチェンジを繰り返しながら今日まで前島密が鎮座してきました。

特殊切手で最後に1円切手が登場したのは1951年発行の『郵便創始80年記念』の小型シートに収められたものですが、これは同年に発行された普通切手(第1次動植物国宝切手)を収めたものです。これを除けば、1947年発行の『日本国憲法施行記念』の1円切手が最後です。

結果として74年間も前島密のいない1円切手は新規発行されてこなかったのですが、昭和時代から平成を超えてこの令和の世に、新しい1円切手が登場することとなりました。まさに驚天動地。しかもシール切手での登場です。シール切手はコストがかかるので少額切手をシール式にすることはないだろうと思っていたのです。

2018年の日本郵政株主総会では、コスト等の関係で普通切手のシール化については考えていないと言及されているところです。今回の1円切手は普通切手ではなく、枚数限定の特殊切手ではありますが、コストがそれなりにかかっていることは間違いなく、よく発行が実現したものだなぁと思っています。報道によれば、可愛い1円切手を求める新聞投書を増田寛也社長が見て、発行を検討させたのだそうです。

特筆すべきは、1円切手は前島密でなくてはならないという主張が日本郵便内に根強くあり、そうした反対を押し切る形で発行されるという点です。その反対論が間違っているというつもりはありません。今や1円切手は最安値の切手ですが、それ故に一番手に入れやすい切手なので、近代郵便制度の創始者を最も目に付きやすい切手に配置するというのは、何も間違ってはいません。アメリカ合衆国の1ドル札にジョージ・ワシントン初代大統領が肖像として使われているのと同じことです。もっとも、1円切手が前島密になった時点では、1円切手が最低値ではありませんでしたが。

一方で他の普通切手やグリーティングのキャラクター切手とも親和性のある、可愛い1円切手を求める声があるのも事実で、なので前島1円切手を完全に置き換えるのではなく、グリーティング(シンプル)切手として1億枚限定での発行となったことは、双方の顔を立てるいい案だと思います。これが売れれば、今回限定ではなく、今後も継続して新1円切手が発行され続けることでしょう。

なにより新1円切手の『肖像』がぽすくまなのがいいじゃないですか。歴史こそまだ10年未満ですが、日本郵便のマスコットキャラクターとして重責を担っているのです。東京中央郵便局ではマスクまで付けられて(笑)前島に変わる可愛いキャラはとしては申し分ないでしょう。個人的には京橋晴海(はるみさん)でも大歓迎でしたが。