22日は猫の日。これは一応、1995年5月に発行されたと伝わる猫切手です。
一応というのは、この発行元が国際的に広く独立が認められていないサハラ・アラブ民主共和国(SADR=Sahrawi Arab Democratic Republic)だからです。日本の地図では単に西サハラと表記されています。上段の”Sahara Occ.”(Sahara Occidental)というのが西サハラのことで、同国の独立を認めていない国向け。”R.A.S.D”がSADRのスペイン語表記”República Árabe Saharaui Democrática”で、まさしくサハラ・アラブ民主共和国を意味します。この表記は1997年の途中で変更されています。
西サハラと呼ばれる地域はモロッコとSADRの双方が領有権を主張しており、SADRを承認していない国はモロッコの領有権も承認していないため、この地を単に西サハラと呼んでいるわけですが、しかし昨年（2020年）12月、イスラエルとモロッコがアメリカの仲介で外交関係を樹立し、その見返りに当時のトランプ米政権はモロッコの西サハラ領有権を認めるという大きな動きがありました。
切手の話題に戻すと、当然のことながらモロッコはSADR名義の切手の有効性など認めておらず、万国郵便連合(UPU)に対して「あんなもん違法やから相手したらあかんで」と2000年に訴えています。その影響か否か、21世紀に入ってからSADR名義の切手は激減し、また切手のタッチも2000年以前と以降では異なっており、個人的には製造業者が変わったという印象です。そのSADR切手は2005～2007年にごく少数の種類が作られ、以降の切手は確認されていないようなのですが、どこかでは流通しているのでしょうか。