いきなりですがクイズです。
現在、日本の郵便局で発売されているものの中で、最も長く仕様が変わっていないものは何でしょう?(売れ残りは除く)
おそらくこれです。国際郵便はがきですね。
郵便局には実に多くのものが売っていますが、その中で国際郵便はがきはもう随分とデザインが変わっていません。国際郵便はがき料金は船便が60円、航空便が70円ですが、船便用のはがきは1988年に発売を終了し、現在は航空便用の70円はがきしか売っていません。
さらに罫線ありと罫線なしの2種類がありまして、罫線ありは1988年4月1日、罫線なしは1988年10月6日発売ですが、罫線入りは既に発売を終了しています。それ以降も海外向けの郵便はがきは新しいものが登場してはいますが、いずれも絵入りで、売価は90円です。なので売価70円の裏が白い国際郵便はがきは今でも販売されています。
けい線入りはがきは販売を終了しているのでしょうか?→販売を終了いたしました。
(日本郵便、郵便物・はがき・切手のQ&A)
https://www.post.japanpost.jp/question/210.html
ということで冒頭の問いに戻ると、罫線なしの国際郵便はがきが一番古いんじゃないのかなあと思います。1988年は昭和63年ですから、昭和時代に発売が始まったものが令和時代の今も買えるということになります。まさに昭和の最終ランナーですね。前島密の普通1円切手も古いですけど、何度もマイナーチェンジしてますからね。もしかしたら国際郵便はがきも最近のものと初期のものは区別がつくのかもしれませんが、例えば切手商組合の日本切手カタログを見てみると区別されてはいないので、まあ同一のものとして扱っていいでしょう。
さてずいぶん長い前振りになってしまいましたが、昨日18日、日本郵便が6月1日より国際郵便料金を値上げすると発表しました。具体的にはEMS、航空/SAL/船便扱いの小包郵便物で、モノによっては2倍近い値上げも見受けられます。
国際郵便料金の一部改定
(日本郵便ニュースリリース、2022/1/18)
https://www.post.japanpost.jp/notification/pressrelease/2022/00_honsha/0118_01.html
EMSや海外向け小包郵便を日常で利用されている方々にとってはかなりの負担増で、恨み節が聞こえてくるのもわかります。ただ今回の値上げは海外での配達コストが上昇したことで日本郵便が相手国に支払う手数料が値上がりし、このままでは利益が出なくなることを理由とした値上げです。なのでもう、しょうがないですね、これは。理解はするけど納得はできないってやつです。まあスピード重視や日本郵便が扱わない地域へ荷物を送るという方は、既に他のお高めのクーリエサービスを使っていると思いますが。
そりゃまあ料金は安いほうがいいですけどね、一方で必要なら値上げしてもらわないと結局は自分たちが損するだけなんですね。変にやせ我慢して値段を据え置かれた結果、ある日突然もうやっていけないのでギブアップします、今日限りで潰れますとか言われてもこっちは困るわけです。アメリカのトランプ前大統領も国際郵便の料金を値上げさせないと万国郵便連合(UPU)を脱退するぞと脅して最終的にはルールを変えさせたわけでね。
それで国際郵便はがきの話に戻ると、こちらはもう33年以上もお値段据え置きで、国内向け通常はがき料金の63円ともう7円差しかなく、船便に至ってはこっちのほうが安いんですよね。2019年の日本郵政株主総会における質疑応答でも国内はがき料金との接近に関する質問が出ていますが、当時の執行役は冒頭「値段は安いほうがいいと思いますが」と回答され、その場では笑いが起きました。しかし私は腹の中で「国際郵便はがきとしての適正価格は考えてないんかい!」とツッコミを入れました。、もちろん、くだんの執行役は続いて「料金は必要コストから設定している」ときちんと回答されていたので、決していい加減な料金設定ではありません。まあコロナ禍で量が増えた国際郵便って小包であってはがきではないよね。
とはいえ国際郵便はがきが3分の1世紀も値上げしない理由は謎といえば謎なのですが、理由や妥当性はともあれ、現状は70円なので、表現が適切かどうかは不明ですが比較的お安めに『遊べる』わけですよ。国内に封筒を送るより安いですからね。ということで、遅ればせながらたまには海外の郵便局あてに局留で送って日本に返送されてくるのを楽しもうかなと思っています。これは、昨年(2021年)に東京中央郵便局に開設された、東京2020大会関連の分室に設置された欧文印を引受押印してもらったものです(一部は既にご紹介済み)。そういえばこれ、アメリカ向けに送ったのが返ってこないなあ。